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部屋とクレオパトラと私 ページ23

その日は確かに家で寝ていた。
急に自分の感情ではない感情が流れ込んできた。
つまらない。
寂しい。
怖い。
苦しい。
助けて!!!
そんな負の感情に押し潰されそうになった時、目の前に女の人が見えた。
そして一抹のいい匂い。
伸ばされた手に呼応するように手を伸ばす。
指が触れた瞬間に目が覚めた。

「痛,,,。」
地面に倒れていた。
お気に入りの白いワンピース。
ポケットには飴玉。
こんなにあったっけ?
暗闇に目が慣れてくる。
耳をすませば水の音。
金の食器を洗い水を汲む。
「飲めるかな,,,?」
蛇口のように出ている水を飲んでみる。
お腹壊したらどうしよう。
ドアは開いている。
近くに転がる小瓶。
『ごめんなさい』
誰かの声が聞こえた。

急に周りの火が点く。
若い女の子が入ってくる。
「誰かいるの?」
その子には私が見えていない。
言葉が何故わかるのかもわからない。
でもその子は負の感情をこの部屋に置いていく為にこの部屋に来ているのだろう。
この部屋には負の感情が充満している。
だから疲れて椅子に座るその子の前に立ち、抱き締めて頭を撫でてやる。
その子は幸せそうにうたた寝を始めた。

気がついたらその子はいなかった。
次に入ってきたのは少し大きくなったその子。
疲れきっている。
同じ椅子に座って少し手を上げる。
「また来てくれないかな,,,。」
私は同じように抱き締めて頭を撫でる。
「頑張らなくていいよ。」
その子は涙を流した。

次に入ってきたのはずいぶん大人になったその子だった。
涙を流して何も言わないその子を抱き締めた。
「今日も居てくれるの。」
私を抱き締め返し、落ち着くと掌を出す。
その手に私も合わせてみる。
この子にとって私はなんだろう?
幽霊?祖先?
「私が呼んでるのかしら,,,。」
少し不思議そうに首をかしげる。
「ごめんなさい、でもありがとう。あなたがいたから私は救われた。」
微笑むその人は私の頭を撫でた。
「私はそろそろダメかもしれないけど、あなたは帰してあげなきゃね。」

その言葉を最後に薄暗い部屋に戻る。
少し息苦しい。
繋がりが欲しくて小瓶をポケットに入れる。
近くに水筒になりそうな入れ物を見つけ水を汲む。
この先は多分,,,何にも頼れない。
自分がどこにいるかもわからない。


ドアの向こうに一つだけ火がついている。
隙間から少しだけ差し込む日の光とその火を頼りに部屋を出た。
『ありがとう。』
聞こえた声に答える。
「ありがとう。」

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ユン(プロフ) - 黒い羊さん» いえいえ!応援しています! (2019年11月12日 6時) (レス) id: ca6f64574e (このIDを非表示/違反報告)
黒い羊(プロフ) - ユンさん» ありがとうございます!他の方からの意見は参考になるのでありがたいです!次の作品に生かしてみます! (2019年11月12日 0時) (レス) id: e982612239 (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - 作品を拝見させていただきました!!!ストーリー性が素敵で面白い作品だと思います!ちょっと厳しめに感じたことをいうと○○がーだった。という表現などを例えば彼女の顔にはまばゆいばかりの笑顔が溢れていた、だとかうまく表現を工夫したらいいのではと! (2019年11月11日 23時) (レス) id: ca6f64574e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒い羊 | 作成日時:2019年9月6日 8時

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