緑谷出久のお姉ちゃん【ヒロアカ】 (ページ3)

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第一話優等生ページ3

「Aちゃん！おはよう！」

『おはよう、今日は小テストがあるから頑張ろうね』

「えっ！？聞いてないよ〜！！どうしよう、勉強してない…」

『昨日、先生が言ってたの聞いてなかったの？』

「えぇ、何のテスト？教えて〜」

『そこまでは言ってなかったかな？帰り道で楽しそうだったからおかしいと思ったけど、寝てたの？』

「嘘でしょ〜、この時期に小テストとか先生鬼畜！」

『はいはい、いくら嘆いたってテストはやってくるよ』

「Aちゃんは相変わらず余裕そうね…いいね優等生は」

『私だって焦ってはいるけどね。どの教科か分からないし、内申点稼がなきゃだし』

そう、この時期＿＿＿受験生にとっては勉強地獄の日々となり始める中学三年生

「Aちゃんは内申点も余裕でしょ？優等生なんだから！」

『…ありがとう』

彼女に悪気はなくても、皮肉のように聞こえてしまうのは私の心が醜いからだろうか
優等生、なりたくてなった訳では無いし、ただ内申点を稼いで出久に対するいじめをなくそうと思っただけなのにな
まぁそれが、余計比べられて酷くなっちゃったんだけどね

出久というのは私の弟で、この世界では珍しい何の【個性】も持たなくして生まれた子。
世界総人口の約八割が何らかの【個性】を持って生まれるこの世界では残りの二割が【無個性】と呼ばれる何の個性も持たない人がいる
私の弟は残りの二割で、小さい頃から幼なじみやその取り巻きにいじめられていた

その度に私が庇っていたが、それが火に油を注いだのか、出久のいじめは酷くなるばかりだった
だから私は、出久を守るヒーローになるんだ

例え何があっても

「ねぇ！聞いてる？」

『へっ？あぁ、聞いてるよ』

「なんか今日は上の空だね。何かあった？」

『ううん、何でもないよ』

「あ、先生来たみたい！」

「みんな揃ってるなー」

今日もまた、同じような一日が始まる

✿✿✿

放課後。
全ての授業が終わり、みんなが帰りの支度を始めた頃

「ねぇ、今日一緒に帰らない？」

『うん、いいよ』

「そういえばさ、Aちゃんて弟いるじゃん？」

『え？双子の弟なら隣のクラスにいるけど…』

「彼、無個性なんだってね」

『…それがどうかした？』

彼女は最近転校してきたばかりで、出久についてはあまりよく知らない
クラスの子が出久を揶揄う(からかう)のは知っているはずだが私が出久をとても大切にしているのも知っているはず