緑谷出久のお姉ちゃん【ヒロアカ】 (ページ11)

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第九話弟の思いページ11

出久side

本当は分かってた
オールマイトにビルの上で言われた時、より自覚した

けど、けどその後にオールマイトから言われたヒーローになれるという言葉

小さい頃からの憧れで、いつか僕のあの人みたいになりたいと思っていた人が言ってくれた、僕が長年待ち望んでいた言葉
だから信じたかった
オールマイトは僕を信じて力を託すと言ってくれた

でも、お姉ちゃんから言われた言葉が頭から離れない
今からでもお姉ちゃんにオールマイトから個性を授かるからヒーローになれるとでも言いに行こうか
いや絶対に信じられないし僕が嘘をついていると思われるに違いない
それにオールマイトの秘密はオールマイトが僕だから言ってくれた言葉であり、それをお姉ちゃんに言ってもいいのか分からない

「僕はどうしたらいいんだろう…？」

気付いたら、海浜公園に来ていた
オールマイトと約束した場所だからかだろうか
砂浜にはゴミが沢山あって海をまともに見られない
どうしてオールマイトは僕にここに来るように言っていたんだろう
あぁ違う、今僕が考えるべきはお姉ちゃんとのことだ

お姉ちゃんは僕のことが嫌いなんだろうか
今まで大事にしてくれてたけど、それも全部演技だったとか…
いや、お姉ちゃんは本当に僕のことを大切にしてくれた
じゃなかったらいじめてくるかっちゃんやクラスの子から庇ってくれたり、励ましてくれたりと僕を大切に思ってくれていなきゃできない行動もある

「もうお姉ちゃんとは、仲良くできないのかな…」

「それは違うさ少年」

しゃがんで俯いていた僕の前に影ができた
それと同時に声が聞こえた方に顔を上げると、そこにはオールマイトがいた

「着いてきたんですか…！？これは僕とお姉ちゃんの喧嘩なのに…」

「まぁそこら辺は置いといて、少なくともお姉さんの方は君も嫌いじゃないと思うよ」

「それは、どういう…」

お姉ちゃんとオールマイトはまだ出会って間もないしまともな会話もしてないはず
それなのに、どうしてオールマイトがその事を？

「君が走り出してからすぐ、お姉さんも君を追いかけていた。君があまりにも早く色んな角を曲がるから見失ったみたいだけど、君を必死に探していたよ」
「その目は確かに、君を心配していた目だ。」

お姉ちゃんが、僕のことを…
自分が走るのに必死で後ろになんて気づかなかったな…