白亜の殿堂 ３ 【Sho&Nino】

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で

その二宮さんの声だったんだけど……寝言？



二「ため息、8回目」


光を遮るように目元を覆ってる腕の下で、唇が動くのが見えた。


起きてたんだ……



二「翔さんがいなくて寂しいのはわかるけど、子供じゃないんだから」



寝言みたいに聞こえるのは、声の張りが全然無いからだ。

お腹に力を入れないで、ものすごい省エネで喋ってる。


節約してるっていうより、疲れすぎてエネルギーが残ってないだけかもしれないけど……


遥は大丈夫なのかな……




_「そんなんじゃありません」



二「じゃあ、なに」





櫻井さんが東京行きを望んでいると知ってしまった以上

この件について櫻井さんに相談するのは気が引ける。


他に相談できる人といえば二宮さんしか思い浮かばなくて

昨夜から何度も考えていた。

二宮さんなら何て言うだろう――と。




_「……あの……ですね……」




座敷で寝ている二宮さんは

体中から疲れが吹き出してるように見える。



民衆党の事は二宮さんが手を打ってくれた……と櫻井さんが言っていた。




昨日も、色々あったのかもしれないな……




_「いえ……たいしたことじゃないので……すみません、うるさくて」





これは私の事だ。

自分で決めるしかない事だ。

どうしたらいいですかと問われても、二宮さんは困るだろう。





今度は二宮さんが、ﾊｧ……と深いため息をついた。

ため息の中にも疲れが滲む




二「じゃ、俺は寝るから」



_「はい」



二「その、たいしたことない悩みとやらを、独りでブツブツ喋ったら？
俺は寝てるから聞こえないし」



_「……」



二「んじゃ、おやすみ」




それきり、二宮さんは口を閉ざしたけど

腕の下に見える口元もほっぺも、眠っているそれではなくて




話しなさい……って




言ってくれてる気がした……



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