白亜の殿堂 ３ 【Sho&Nino】

--135 ページ35

翔「いきなり現ナマ入りの紙袋が出てきたら
　誰だって不安になるよな(笑)」



_「自分だけなら、現金でも雑誌記者でも構わないです。でも……」



翔「ん。Aちゃんの気持ち、わかる、と思う。
　俺も同じスタンスだから」



櫻井さんは、顔から笑みを消して頷いた。



櫻井さんが事務所に来た日に言っていた
「私と二宮の座右の銘は "松本をバカなことで失脚させない" なんです」
って言葉を思い出す。



私の思いのすべてが柴田さんに帰結するのと同じように、
櫻井さんは松本さんを守るために全力を注ぐのだろう。




もちろん、その発露となる気持ちまでは、同じじゃないと思うけど……




昨日の話、思い出されちゃったかな。

私が柴田さんにすごく感謝してるって話……






昨夜も、今も、櫻井さんは

ぼっちだったんだ、大変だったね……なんて

私の過去に同情する気配は全然無い。

それがうれしい。





過去は過去で色々あったけど、それはそれ。

結果として、今の私は全力で柴田さんを支えたいって思ってる。

櫻井さんはその気持ちをストレートに受け止めて、ちゃんと汲んでくれる。




せっかくのドライブで重い話をしちゃった事は後悔したけど……



話して良かった――


この人なら委ねられる。大丈夫――



そんな安心感。






翔「幸いな事に、そのへんの事はカタがついたから
　安心していいんだけど」



_「そのへんって、どのへん……？」



翔「民衆党は、ニノがうまいこと押さえ込んだ。
　もう、ちょっかい出して来る事は無いよ。完全終息」



_「え？紙袋を返すだけじゃないんですか？何かするんですか！？」



翔「ん？……ああ、今日は紙袋の返却だけだよ。
　民衆党を押さえ込むのは、もう済んでる」




昨日の今日なのに？



二宮さんの寝不足の原因がそれだとして……

一晩で何をしたんだろう。



あんなに小林さんを当選させたがっていた民衆党を
たった一晩で……




翔「そんなわけで、俺らが居候を延長する必要も無くなってさ〜」




櫻井さんの足がトンと床を蹴って、椅子がクルーッと回転する。



空中で膝を抱えた櫻井さんは「ソツが無いのも良し悪しなんだよ〜」と
天井を眺めながらクルーッと回る。




.

--136→←--134

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す