白亜の殿堂 ３ 【Sho&Nino】

--124 (side S) ページ24

.

これだよ



これなんだよ！



Aちゃんとの会話で時折発生する、このゾクゾクがたまらない。







素直で可愛いだけの子じゃ物足りない。


頭が良いだけじゃ、小賢しい。


こんな条件を並べたら、何様!?って言われるだろうけど。それが俺の本音。


そこを軽くクリアするほど絶妙な間合いのようなものを、Aちゃんは持ってる。





・





翔「呂崎は、熊野の愛人から猥褻行為で訴えられてもおかしくなかった。
　それを熊野が止めた。見逃してやった……と言ってもいい。
　呂崎は熊野に借りが出来たわけだ」



＿「良かった」



Aちゃんが、吐息混じりに呟いた。




え？

今の話の中に、Goodな要素なんて、あったか？




翔「Aちゃん？」


＿「……ぁ」


物思いの淵から戻ってきたAちゃんは、
パチパチと数回瞬きして頭をシャンと起こした。



＿「呂崎議員のトラブルを喜んだわけじゃないです。
　ただ、呂崎議員は自幸党だから……
　自幸党も柴田さんに敵対するのかと思ってました。
　民衆党だけでも大変なのに、一番大きい自幸党までか〜 と」



翔「なるほど」


＿「でも、違いますよね。呂崎議員は借りを返すために出てきただけ。
　自幸党まで柴田さんの敵に回ったわけじゃない。
　と思っていいですよね？」



翔「いいよいいよ。じゃんじゃん思って」



柴田さんに対する思いが詰まった瞳は、まっすぐ俺を見つめていて

強い意志と共に、俺に懇願するような色を帯びている。




くぅーーーっ

Aちゃんの頭、グリグリしてやりてーっ！






＿「そうすると尾澤議員は……？」




おっと。

そうだ、話は途中なんだ。

呂崎の秘書として尾澤のお気入りホステスが来た件ね。



翔「自幸党の中にはいくつか派閥があって、
　その中の一つが尾澤派。
　熊野は尾澤派の幹部の一人。

　多分、武勇伝の件で、呂崎を見逃すように指示したのは尾澤だよ。
　熊野は、自分の愛人に手を出されて怒り狂ってたからね。
　尾澤の命令でもなきゃ、呂崎を訴えさせて、議員辞職にまで追い込んだはずだ。

　そこを我慢させて、呂崎に大きな貸しを作らせた」



＿「そんなに前から、今回の計画を……」



翔「それはどうだろ？
　使い道は後で考えるとして、とりあえず駒としてキープしたとも考えられる」

--125 (side S)→←--123 (side S)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す