白亜の殿堂 ３ 【Sho&Nino】

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そんな中で

――Aちゃんがそこまで柴田さんを好きな理由、聞いていい？――

と聞かれて

私は、つい


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それがいつ頃からなのか、ハッキリはわからない……



覚えているのは、小学校に入ってしばらくした頃。




私は、どうにも女の子のグループにうまく溶け込めなくて。

いじめられたとは言わないけど……なんとなく孤立していた。



その時が始めてではなく、ずっとそんな感じだった という感覚はあった。
きっと、物心つかないうちから馴染めていなかったんだと思う。



学校から真っ直ぐ帰って、
誰とも遊ばないって事を、親に知られるのが嫌で
毎日、日が暮れるまでお婆ちゃんの家にいた。



お婆ちゃんは、両親には何も言わず、私にも何も言わず
ただニコニコ迎え入れてくれたから……
私は安心してお婆ちゃんの家で呼吸ができた。





そんなお婆ちゃんの家にも、寄れなくなってしまって……





他のどこかに寄り道する度胸も無い私は
下校する時は、電柱から電柱までの間を5往復してから次に進む っていうルールを作って
できるだけ長い時間をかけて家に帰る努力をすることにしていた。




ある日
いつものようにしば茶の前を5往復していた時
突然しば茶のドアが開いて、柴田さんがヒョッコリ顔を出した




柴「Aちゃん！久しぶり！
　ちょうど良かったよ。新しいメニューの味見、してってよ！」




今なら、わかる。

柴田さんは、私に……私に居場所が無いって……気付いてくれた。

新作メニューの味見っていう理由をつけて、私を招き入れてくれた。





あの頃の私はそこまで頭が回らなかったから、

ただ、真っ直ぐ帰らずに済む事と

一人ぼっちでいる後ろめたさを感じなくてすむ事にホッとして

しば茶のドアをくぐった。




それから柴田さんは

「味を改良するからさ、明日もちょっと寄ってって？」とか

「常連のおじさん達、若い子がいないと寂しいんだって(笑)Aちゃん、顔出してあげてよ」

なんて、次々と口実を作ってくれて……

私は毎日、しば茶のドアを自分で開けることができたんだ


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と

こんな事を、櫻井さんに話してしまった。




気晴らしのドライブで、重い話にもほどがある。




櫻井さんは嫌な顔せず聞いてくれたし

喋ってしまったものは取り消すこともできないけど……




とにかく、そんなわけで、居心地が悪いんだ。


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