白亜の殿堂 ２ 【Sho&Nino】

--60 ページ10

＿「景気は下向き……って、全然良い条件じゃないですよ？」


ニ「そう。景気が下向きなのよ。大変なのよ。

　国民の皆さん、生活苦しいですよね〜
　
　わかります。

　わかりますよ〜。

　だから自幸党の公約だった『消費税10％』の件、延期しますわ〜」



あーー、それ、すっごくうれしい！


8パーセントでも、かなりカツカツだもん。




ニ「そうするとね、野党は「公約違反だろ！うそつき！」と、総理を責めるわけよ。

　本来、野党は増税反対なんだから、黙って賛成すりゃいいのにさ。

　公約違反を見逃すのは、野党のプライドにかかわるらしいからね」



あ……なんか……見えた気がする……




ニ「そしたら総理は、こう言うわけ。

　『わかりました。衆議院を解散して、選挙で国民の意見を聞きましょう』

　どう？」




自幸党は、あえて増税を引っ込めることで

圧倒的に有利な選挙ができるんだ……




ニ「そういうシナリオだったら、解散はもうホントに目の前でしょ。
　で、それを裏付ける出来事が、昨日の黒留クン」



黒留議員が柴田さんに会おうとした件が？



ニ「民衆党はスミス君と仲良しだからね。
　大統領選の情報なんて、新聞で知ったワタシ達よりずっと早く知ってる」



＿「それで、民衆党も同じシナリオを予測したから……急いで行動に出た……？」



ニ「そう。
　しかもあちらさんは、俺らよりよっぽど裏付けの情報を持ってるから。
　俺と翔さんだけの予測なら信頼度80%だけど、
　黒留クンが動いたことで99%にジャンプアップ」



遥「え〜……じゃあ……本当に本当の話なんですか？」



ニ「アナタ、まだそこなの！？(笑)」


遥「もう、しょうがないから、信じますけど！」


ニ「はいはい。ありがと」


＿「選挙の準備……しないといけませんよね」


原稿、まだ書きかけだ……。


ニ「そーなのよ」




そうして、しばらく天井のシーリングファンを眺めていた二宮さんは

「のんびり飯食ってられるのも、ここまででしょうね」

と……

私と遥にではなく、今頃電車に揺られているであろう櫻井さんに

話しかけたみたいだった。

.

--61 (side S)→←--59

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す