白亜の殿堂 ２ 【Sho&Nino】

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考えてもみろよ……




ホテルの喫茶コーナーに呂崎がいて

Aちゃんがキョロキョロしながら入っていって

呂崎に声をかける。

ひとしきり挨拶してから、重そうな紙袋を呂崎に渡す……



どう見える？

いや、どう見せることができる？



袋の中身が現金だった……と、後付けの情報を出されたら
ワイロの受け渡し現場にも仕立て上げられる。




呂崎の事務所に女の秘書はいない。

存在しない秘書から土産袋を預かったと言い張ったところで
誰も耳を傾けやしない。




それに……だ。

そこまではノーマルなシナリオだとして
その後に、呂崎のアドリブが入らないと、誰が言える！？


場所はホテルだぞ！？


なんだかんだの末に「俺はハニートラップもしかけられた」なんて
呂崎が被害者ヅラしやがったら……






ぶっ殺す。






翔「すぐAさんに電話して！」


遥「すぐには無理で〜す(笑)」


翔「ふざけてる場合じゃねぇだろ！」


遥「ふざけてませんよ。つながらないんです。電源切ってるから」


翔「は！？」


遥「Aは、相手の人に失礼だからって、電源切る派なんですよ。
　印刷屋さんで切ってから、入れ忘れてるみたいで」



マジでふざけんな……





目の前の自販機に、靴底を思い切り打ち付けた。





ジーンとしびれる足を睨みながら

当座の目的を見定める。





止めること……だ。





Aちゃんがホテルに行かなければ

後のことはいくらでも手当てがつく。




翔「待ち合わせの時間は？」


遥「ぇ……っと……６時半……です」



俺が向かって、ギリ間に合うかどうか……厳しいな……



翔「ニノは、今どこ」


遥「へ？ 富士のゴルフ場ですよ。接待ゴルフのキャディーさん(笑)」



くっそ

ゴルフバッグ放り出して向かっても、俺と大差ねぇじゃん。




考えてる時間がもったいねーわ。


俺がカットインすればいい。





翔「俺もＨホテルに向かうから」




言いながら、駅に向かって歩き出す。




翔「電話。つながるまで、かけ続けて」



遥「は？」



翔「また連絡する」



走りながら、電話を切った。



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