白亜の殿堂 ２ 【Sho&Nino】

--85 (side S) ページ35

.



無いとは思うけど……

どこぞの議員秘書とすれ違ったりしたら超気まずいから

メインの道路は極力通らずに

細い道を縫うようにして最寄駅へ向かう。




そういえば、昼飯まだ食ってなかったな……




まあ、慌てる必要もないか。



どのみち、この辺りで食う気は無いし

浜松行きの電車に乗ってしまえば時間はたっぷりあるんだ。

駅弁３つ食っても、まだ時間が余るだろう。




・





飯の心配より、さっさと情報共有しておくか。


ちょうど、身を寄せるのに手頃な自動販売機もあることだし。






・





――お待たせ。4月16日だ――




と、ニノにメッセージを送ると、十秒ほどで返事が来た。





『了解』





――府中→東京→新幹線→浜松18時かな――






『了解☻ お疲れ様』






なんでそこに☻が付くんだ？

俺、何か面白いこと言った？




腑に落ちないスタンプに首をひねりながら

続いて電話帳をタップした。




「あ、か、さ……し……ばた事務所……っと」




発信をタップしてスマホを耳にあてると

すぐに「はい」と元気な声が聞こえてきた。




翔「あ、もしもし、櫻井です。お疲れ様です」


遥「櫻井様……いつもお世話になってお……あ、翔さんだ！」


翔「ははは そうです。わたくし、櫻井翔と申します(笑)」


遥「なーんだ。もう、誰かと思いましたよ〜。お疲れ様です」


翔「お疲れ様……」


数秒だけ、迷った。

果たしてこの人に業務連絡をしていいものだろうか……と。

どう考えても、川瀬さんには失礼な話だけど(笑)






まあ、伝えるといっても日付だけで

それ以上のことは戻ってからの話だから

なにも無理してAちゃんに代わってもらうこともないんだよな。




翔「選挙の日取り、わかったよ。４月１６日だ」


遥「はーい！」


翔「……」


遥「……？」



いい返事だよ。

返事コンテストだったら入賞できるよ、きっと。

でも、今じゃないよなぁ、そのあっけらかんとした返事……(笑)


.

--86 (side S)→←--84 (side S)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す