白亜の殿堂 ２ 【Sho&Nino】

【7話】--79 ページ29

■ 7話 ■




あーー





憂鬱……






仕事する気はマンマンだけど


事務所に行くのが憂鬱


憂鬱すぎる





だって、事務所に行ったら二宮さんがいる





朝、起きたら二宮さんの隣で寝てました……なんて！

さっきまで隣で寝てました……なんて！





どんな顔して仕事すればいいの！？



・


・

・

・
・
・


今朝……というにはまだ薄暗かった夜明け前。

足が冷たくて目が覚めた。



足の先をモゾモゾ動かして、毛布の中に潜り込ませようとしたものの
なんだか窮屈で、動きにくくて



仕方なしに、重いまぶたを薄く開いてみたら
目の前に白い何かが…あった。




その白い何かがYシャツだとわかって、
Yシャツを着た腕が、私の肩から背中に回ってる……と気付くまで
いったいどれだけ時間がかかったんだろう……









ニ「なに……起きたの……?」


片目だけ開けた二宮さんが、掠れた声で言った。




すごく掠れた、小さい声




第2ボタンまで外したYシャツから、白い喉元が覗く





二宮さんの向こう側には畳の縁と砂壁がボンヤリ見えて

自分は事務所の座敷――二宮さん達が寝泊りしている場所――に寝ている事がわかった。




それに……毛布……

グルグル巻きになっていて、腕も出せない





まだ寝ボケている頭の中は、溶けたアメのようにモッタリと重くて
たったそれだけを認識する間にも、ズブズブと眠りの中に沈んでしまいそうだった。





・





それから30分……ううん、10分か…1分だったかもしれないけど。

二宮さんは瞼を閉じて、寝息を立てていた……





薄明かりの下、二宮さんの肌は透き通るように白くて

スーッと通った鼻筋はギリシャの彫像みたいに綺麗……



不安になるくらい白い肌の上に

伏せた睫毛の黒い色が、少しだけあどけなさを添える



緩く結ばれた唇の端っこが、少しだけ動いたような気がして……

美味しい夢でも見てるのかな――なんて思っていたら

急に後ろ髪をクシャッと掴まれた。





二宮さんが、短いまどろみから戻ってきた



瞼を閉じたままで

さっきよりも掠れた声で「さて…送りましょうか、ね」と呟いて



寝息よりもずっとゆっくりとしたペースで

私の後ろ髪をクシャ...クシャ...と何度も弄ぶ



_「あ、朝、だから、大丈夫。自分で帰ります」



私の声でやっと薄目を開けた二宮さんは
まぶたの隙間からチラリとこっちを見て「んじゃ、帰さない」と
髪を掴んでいた手を背中に戻してしまった。

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