白亜の殿堂 ２ 【Sho&Nino】

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櫻井さんとの電話を終えて

シーンと静まり返った事務所の中。




電話の前も静かだったけど……

今は、空気の中に溶けている「シーン」が濃くなって

体にまとわりついてくるみたい。





雑然としていた机の上は片付けた。


パソコンも切った。


上着と鞄もスタンバイしてる。


二宮さんは……まだ戻ってこない。






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手持ち無沙汰で、何とはなしにスマホに手をのばしかけたところで、止めた。

そうだ。

今こそ新聞の出番でしょ。

この時間に読まないで、いつ読むっていうんだ！




チャンスだチャンス……と、鞄の中から1紙だけ取り出して机の上に広げてみた。




いつも新聞はテレビ欄から見るんだけど、今日は反対側から。

こっちが一面なのよね。


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んー


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ざっと見渡しても、心を惹かれる見出しは一つもない。


いつものことだけど(笑)





とりあえずビギナーなんだから、えり好みはやめて

一番大きく扱われている記事を読んでみることにしよう。


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読んで……



読んで……



読んで……



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う〜ん


内容がさっぱり頭の中に入ってこない……





「読める」と「わかる」って、こんなに違うのか〜。



馴染みのない熟語の羅列は、一つもピンとこない。



じっくり読んでも、頭の中に情景が浮かんでこないから

お経を唱えているみたいに、言葉がサラサラと通り過ぎるばっかりだ。





ちょっと……選んだ記事が悪かったかな……





この記事は、また後でってことで……







もう少し親しみやすい話題を求めて、ページをめくってみると

2面の中段にわりと大きめの写真が掲載されていた。



偉そうな男の人達と、それを取り巻く男の人達が写ってる。




こういう写真も

二宮さんはじっくり見るのだろうか。





きっと、見るんだろうな。





そして……

写っている人達の、全員の名前を言えたとしても、驚かないぞ。







私は〜

え〜と

一番大きく写ってる2人のうち、左側が総理大臣だっていうことはわかる。





あとは……



右側のおじさんも見たことあるような……






――顔を見っときは、目ん中の白黒んとこを見るちや――





そうだ……



お婆ちゃんが言ってた……





――年がいこうが太ろうが、白目と黒目の具合は変わらんがぜ――





古いアルバムを並べて見ながら



懐かしそうに、一人一人、指で辿りながら



そう言ってたね……



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