白亜の殿堂 ２ 【Sho&Nino】

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_「でも今回は時間も無いみたいだし」





翔「うん。確かに切迫してはいる」


急に低くなった声が、鼓膜を震わせた。

笑い声とは違う響きが首筋まで伝わってきて、思わず肩をすくめてしまう。





翔「それはそうなんだけどさ〜」


仕事モードになりかけたトーンを引っ張り上げるように、

櫻井さんはのんびりした声を出した。



仕事の話ならメモしなきゃ……とメモ用紙に手をのばしかけていた私は

そのまま何も掴まず、ひざの上に手を戻した。



翔「時間が無い無いといっても
　1ヶ月じゃ済まないくらいのスパンだから。
　ああ、それは県議選で経験済みだよな(笑) 今更だったか」


_「覚えてるのは、忙しかったってことだけですけど」


わけがわからないうちに終わった……っていうのが、正直なところ。




翔「キッツイだろ？(笑)」


_「キッツかったです(笑)」


翔「そーなんだよ。だから初っ端から飛ばしすぎると最後までもたない」


_「そこは大丈夫です。私、体力には自信あるんで」


翔「それなー。体力を根性でカバーしそうだからなー」


_「根性は無いです！(笑) でも別のものでカバーできますから」


翔「気力……とか？」


_「いえいえ。もっと強力な。疲れが吹っ飛ぶやつが」


翔「ちょ……それ……ヤバいやつじゃね！？」


_「……？」



ヤバい？

突然なに……何がヤバいってい……う……



_「あ！！ やだ！ 何考えてるんですかっ 違いますよ！全然違います」


翔「本当に？」



うわわわわ。やだ、本気で探りを入れられてる気がする。

確かに、疲れがとれるからって手を出す人もいるらしいけど！



_「違法なものじゃありません！！ただの黒ニンニク！！
　交番の前で食べたって平気なやつです！」


翔「交番の前で……ニク……？」


_「くっろっにっんっにっくっ。黒いニンニクです」


翔「ああ！ 黒ニンニクか。ブラックガーリック！」


_「なんか調味料みたいですけど……違いますよ？」


翔「あ、いや、知ってる知ってる。
　横文字で言ってみたら調味料チックで、自分でも驚いた(笑)」

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