白亜の殿堂 ２ 【Sho&Nino】

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遥「じゃあね、A。お疲れ〜」


疲れきった様子の遥は、腕を上げるのもダルそうで

お腹のあたりでバイバイと手を振ると

そのまま手を腰にあてて「はぁ〜、イタタ……」と顔をしかめた。



＿「お疲れ。寝る前に湿布貼りなよ？」


遥「うん。貼る。絶対貼る」


＿「じゃあね」


遥「うん。おやすみ〜」




事務所から歩いて2つめの交差点で

遥と私は手を振り合って分かれた。



横断歩道を渡る遥の後ろ姿はヨレヨレ。

多分私も人のことは言えないけど(笑)



遥が向こう岸に渡りきったのを見送ると、私の進行方向の信号が青に変った。



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櫻井さんが東京に戻ったのは、今朝。

二宮さんから｢選挙が近い｣って説明されたのも今朝。


ついさっきの出来事のような気もするし

何日も前のような気もする。


あの2人が来てから

時間の流れに波がありすぎて、感覚が狂っちゃうのよね。




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今朝、サンドイッチを平らげた二宮さんは

「今日から、柴田さんのお供は俺１人でいいから
　Aちゃんと遥バァちゃんには、選挙の準備に取り掛かってもらおっか」

とつぶやいて、とんでもない量の仕事を言い置いて出かけてしまった。






選挙挨拶をさせてもらえそうな企業をリストアップして

朝礼夕礼の時間帯、社内の年齢構成、内部事情を調べること――


ポスター用の写真撮影スタジオの選定と、

メイク担当、スタイリスト、画像加工担当の選定と日程調整――


個人演説会の会場のリストアップと、現在の予約状況のチェック、

会場設備のリスト作成、不足物の手配方法、会場レイアウト、人間の動線の確認――



えーと

あとは何だっけ……

メモを見ないと思い出せない……




それらの全てを二宮さんはスラスラと、歌うように並べ立てて

最後に

「ま、これくらいかな。明日中には終わるよね」

と、とんでもないことを口走っていた。




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