終期 ページ10
しばらく前に届いた大きな箱。
差出人不明の届け物だった為、ずっと放置していたが…。
感覚がバグっているので、空き巣に入られたことに恐怖を覚えていないのは置いておいて…、
うっすらと埃が被るほど放置していたその箱を開封。
その中身は、ヴァリアブルローラーフォイルだった。
ステッカーが貼られているため間違いない。
一緒に紙切れ1枚が入っていた。
ささやかなプレゼントだよ。
そう一言記された。
裏を見ると、クマサン商会のロゴが表記されていた。
艶々に光るヴァリアブルと冷蔵庫のエナドリ1本を持ち出し、窓から退出した。
もう戻ってくる事はないだろう。
あと必要なもの。
…一つしかないか。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
Ready の合図で構える。
そして、Go の合図で縦振りで塗る。
移動した場所はムツゴ楼。
そう、3分間の陣地の取り合いの勝負。
「ナワバリバトル」をしていた。
投げ慣れないキューバンボムの特性を理解しつつ、塗り進める。
例のバンカラ地方へ行くにも金が必須だが、あいにく全くない。
適当に日常で着ていたギアで、バトルに挑んでいる。
しかし、それにあたって注意すべきことがあった。
それは「名前」と「特徴的な身体」だ。
名前は適当な名前を言えば良いのだが、
「身体的特徴」はどうしようもない。
出来る事はしておくことにした。
最初に、放置していた伸び切ったゲソをマッシュに整え、
帽子の下にサングラスとマスクで目を隠す。
いつも通りの長ズボンで義足を隠し、
「別人」としてバトルに参加した。
…バトルに戻ろう。
絵馬の掛けられた中心地で、縦振りを必ず当てていく。
普段カタパットに使われていたマルチミサイルを自分が使うとは思ってもいなかった。
敵の陣地を塗れるだけ塗り、引き気味に攻撃を続け、似たような短中射程を1人で抑えていた。
「おい…アイツなんなんだ？」
「見た事ないんだよな、天才現れたなこれ」
そんな中、味方の1人が何か悩んでいるようなそぶりを見せていた。
気づけば超ブランクの空いたナワバリバトルが終了。
55%差という圧勝だった。
塗りポイントは2120と上出来だった。
ネットで調べるとバンカラ地方への交通費は3万程度。
早く貯まりそうだなとニヤった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Wingdry | 作成日時：2024年1月9日 10時
