屈辱 ページ25
「…あと、話すのは2回目だったな」
そう言われ驚く。
『…すまないが覚えてないな』
「…お前みたいな見た目も実力もクソみたいな奴がバトルやる権利ねえよ」
その一言で場の雰囲気が変わる。
『…』
そう、あの屈辱と人生のターンポイントを作ったあの男。
…その瞬間、苛立ちと殺気が込み上げてきた。
手は震えていた。
「…まあ、殺したくなるのも当然だろうな。
だって、お前の人生をあの一言で壊したんだから」
悪びれる様子もなくスラスラと笑い話のように続ける奴に…
グサッ
「…ははは」
ポケットナイフで思いっきり刺してしまった。
「…これも当たり前だよなぁ、
バチが当たったんだから何も言えねえや。
同じ生まれのやつを…ガハッ…虐めたバチが…な」
膝をつき、静かに倒れる。
『…ッハッ!?』
いきなり動転して正気に戻る。
『ちょっと待て!救急車を呼ぶ!』
「…別に出頭とかはしなくていいからな、まあ、救急車は呼んでくれ」
その後の事は慌てすぎていて何も記憶に残っていなかった。
_______________________________
…結局協力者を自らの手で怪我をさせてしまった。
どんなに傷ついているとはいえ現実を見ていた自分が気が動転したのは初めてだった。
…恨んでいたんだろう、心の奥深くで。
そう自己正当化して同じ町のホテルで休んだ。
彼は今病院で入院しているらしい。
死に至っていないだけ良かったが…。
そう思っていると、イカホに通知が鳴る。
「今度祭りがあるから一緒に行かないか?」
オメガから何分か前に来ていた。
うーん安いから通知が遅いのかなぁ。
…軽くイカホでコメントを打って送った後、
ピンポーン
部屋のチャイムが鳴る。
『はい…あれ?サr』
そこで意識は途切れた。
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Wingdry | 作成日時:2024年1月9日 10時