Episode6 葬られた実験場 ページ2
体全体が溶けかけていた頃だった。
ガタン!
そんな鉄骨の崩れるような音で意識が戻った。
溶けかけた体は悲鳴をあげる。
しかし耐え抜き、重すぎる腰を上げた。
『……どこ…だ？』
天井には大きな穴が空いており、水が流れている。
地面は傾いていて、下側は当たり前のように水没している。
どうやら海の下の世界に来たようだ。
行ける方向は上の1つのみ。
ボロボロな体を動かして、1歩1歩、着実に歩を進めた。
電車が地面と天井に挟まれて潰れていたり、
ジグザグに地面が波打っていたり、
廃墟である事は分かった。
少し進むと、広々とした駅に出た。
なんとなく察してはいたが、線路上だったらしい。
ホームへ最後の力を振り絞り、よじ登った。
目に入るは異様な光景。
割れた謎の機械。
大きく空いた天井の穴。
気味悪く光るドロドロとした謎の物体。
人気のあったかを示すような漬物とテント。
一度仮拠点として、誰もいないテントに寝転がった。
一度休憩しないと身が持たない。
その間、なにか情報となることがないか頭を回らせた。
そして思い出す。
1,2ヶ月前だろうか。
いや、全く時期は覚えてないのだが…。
ハイカラスクエアの近くの海に、大きな像が立ち、世界をかけた戦いがあった。
そういう話が新聞にあったという曖昧な記憶。
その像は今倒れていて、水没していたはず。
てことは……。
しかし、余りにも体の損傷が激しく、気付けば寝ていた。
考えが浮かぶ前に。
再び目を開いたのは、大きな転落音が聞こえた時。
ｺﾞｼｬｱ
巨大な音に驚いたためだった。
朦朧とする意識がはっとしたのは景色からだった。
周りが少しずつ沈んでいたのだろう。
上がってきていた道が水没していた。
このままでは死ぬと悟った。
慌てて飛び上がり、周りを見る。
水上に見覚えのある物が。
「クマサン印のブラスター」
ルアーが持っていたはずなのだが…、
気にしている暇もない。
陸側によってきたため、広い、使えることを確認した。
丈夫やなと感じた。
そして、脱出すると決心した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Wingdry | 作成日時：2024年1月9日 10時
