孤独のバイト記録簿

果て ページ50

普段より赤く染まった空。




人生の正念場、目指すは討伐のみ。




命を賭けて挑む。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿




スロッシャーの握る手が強くなる。




対照的に、地面を蹴る脚力は弱くなる。




緊張からなのだろうか、自覚がない。




『………。』




叫びが終わると、遂に上陸してきた。




野良はダウンしている状態だった。




「すげーでけー」




ルアーは耳栓が功を奏したようだ。




天性の運ですねクォレは。




早速渦を4つ偵察程度に放つ。




大きな腹に埋まっていくが、効いている様子がなかった。




経験、というか常識だが、攻撃をすればインクがこびりつく。




のだが、全くと言って良い程全て弾いていた。




『マジかっ!』




初めてではないが、初心者の頃の手の震えと似た鼓動を感じた。




ルアーもクマサン印のブラスターで攻撃するが、やはり効果がなさそうだ。




すると、




ｺｫｯ




小さく、合図のように声を出すと、普段のオオモノシャケも姿を出した。




「勝てる訳ないだろ!」




野良1が叫び、クマサンに文句を言う。




「そうだそうだ!」




野良2も声を荒げる。




しかし、労基など存在しない「バイト」をしてしまった末路。




「君達には、注意をしたはずだ。逃げるなりは自分でしたまえ。私は親ではないぞ」




『…っ』




当たり前と言えば当たり前だ。




そんなことをしていると、また当たり前の事が起きた。




「「うわぁぁぁ……」」




ヨコヅナが大きく飛び上がり、踏み潰され…これ以上は言えない。




「わー(棒)」




ルアーは戦意喪失のご様子。




『…はぁ』




初めてここまでの絶望感を感じた。




処理するなど、抵抗はするが大群に2人では勝ち目がない。




「死にたく…ない！」




そして、俺は決断を下した。




『船にお前は早く戻れ、早くしろ!』




「でもクレイが!」




『それを言う前に飛んだ方が身のためだ。ガキ』




「…分かった。」




『食い止めるから早くしろ！』




彼はジャンプの姿勢をとる。




しかし、ミサイルが飛んできた。




慌ててスロッシャーを投げ、盾とさせた。




そして、うまく飛んだようだ。




「クレイー!」




『クマサン、船を出航してくれ。…俺はどうにかする』




「君の判断だ、それで良いんだね?」




『…ああ』




遠目に見える船は出航。




武器もない、救いもない俺は…＿＿＿＿

この小説の続きへ→←戦争

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す