孤独のバイト記録簿 (ページ16)

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現地ページ16

乗り込むまでの道のりも雨が降っており、遠くに嵐のようなものも見える。

これが真逆側なのが本当に救いだった。

ヘリから下を覗くと荒れ狂った高波がヘリの近くまで来る

「悪魔が生まれたんじゃ…。」

ノヴァの彼はそう一言、

「んなわけないでしょ。」

スパの彼女はそう返す一言。

殺風景で何も無かったただの海とは違い、安全な状況とは嘘でも言えないような状態だった。

そんな中、船が見えたとノヴァが言った。

「あれじゃない？」

俺もそちらを確認すると、船の裏側と分かった。

『沈没してる…か』

バイト地からは離れている為、流されたと予測した。

その場合、かなり時間が経っていること。

…死ぬ可能性もあると言う事。

『もっと急いでくれ！！』

「…。」

俺のその言葉に対して運転手は静かに手を挙げた。

だが近付くにつれて不穏な空気が流れていた。

外の景色を見る度に、霧が深くなって、

風も雨も徐々に強くなっていき、ヘリがなかなか進めない状況になっていた。

目的地には着いたものの、急いでと言った頃からすでに5分ほど経っていた。

支給されたパックと武器を準備して、足場らしき場所に飛び降りた。

そこは難破船の1番高い場所だった。

シャケらはたくさんの場所におり、降りて来た俺に対して向かってきた。

「俺らも行くぞ！」

「ワタシスペシャルパック10個あるから渡すわ」

『助かる』

最低限の会話と共に2人も降りて来た。

最初の方はシャケなど処理が簡単に間に合っていたが、時間が経つにつれて少しずつピンチになっていた。

その理由は至って単純、助けるべき4人が見つから無いのだ。

霧で見ずらいが、満潮であることがわかった。

武器の音、スペシャルの音、シャケが爆散する音だけが聞こえる。

助けを求める声など聞こえ無かった。

予想は奥の方で倒れている、その辺りしか思いつかなかった。

仲間2人にリカバリーを任せ、俺1人ボムピッチャーと共に突っ込んだ。

中途半端な手当の足など気にせず海側に走った、一心不乱に。

予想は大まかあっており、無言で佇む浮き輪と浮き輪が破損している倒れたタコ1人、倒れているイカ2人がいた。

『こっちだー！』

絶望的な状況ながらも出せる声を出し切った。

ヘリが近くなり、1人ずつ運んでいった。

だがこの4人の中の誰1人声を発することはなかった。