世界には愛しかない (ページ7)

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Aside

自己紹介を終えて、席に戻る。

……私が、平手さんの横の席を選んだ理由は、仲良くなりたかったから…かな…。

平手さんは、嫌だったかもしれない…けど。

ていうか、私まだ教科書ないじゃん。
……見せてもらうか。

「……あの…平手さん」

だけど、平手さんは気づかない。

「……ﾂﾝﾂﾝ」
「……へ？」

つつくと、そんな声を上げて、こっちを振り向いた。

……かわいいな。

…って、いや、なに？かわいいなって…。
ふ、深く考えないようにしよう。

「ごめん、話しかけてもてもぼーっとしてたみたいで…あの…」
「え、いや、こっちこそなんかごめん！どうしたの？」

慌てている平手さん。

……やっぱりかわいい。

教科書を見せてほしいと頼むと、平手さんは笑顔で見せてくれた。

…なんだ、嫌われてる？とか考えてたけど、全然そんなことない。
優しくてかわいい女の子じゃん。

「……あ」

その時、平手さんが隣で声を上げる。
どうしたの？

「寮の部屋…。前に張り出されてるから、見に行こう」

確かに、黒板にはなにやら紙が。
みんな一斉に群がってるから、見えない…。
ていうか、転校生であの輪に入るのは…キツイかも。

「……おいで」

なかなか立ち上がらない私を見てか、平手さんは手まねきをしてくれる。

……優しいなぁ。

寮は、二人一部屋らしい。

「………………………」

黒板を見た平手さんは固まった。
誰だったんだろう。
でも、私身長が低くて…見えない…。

すると、平手さんが教えてくれる。

「……同じ部屋」
「……え?!」

やった！正直に言って、めちゃくちゃ嬉しい。
すると、反対側から大きな歓声が。

「やったぁ！梨加とだ！イエーイ！」
「よろしくねぇ、愛佳〜」

志田さんと梨加ちゃんだ。
その二人を見た平手さんは私にこうささやく。

「……あの二人ね…付き合ってるんだよ」
「え！」

あまりのことに驚きを隠せない。
だって、女子と女子…。
いや、悪くはないけど！

たしかに、志田さんなら、梨加ちゃんのことを全力で愛して、守りぬきそうな気がする。

……誰かに愛されてるっていいなぁ。

「…ひいた？」
「いや、ひいてはない。ちょっとびっくりはした…けど」

聞かれて、そう答える。

どんな形であっても、それは『愛』なのだから、全然いいと思うし。

「よかった。でも、そっか。びっくりするよね」
「…………ううん。羨ましい…かな」

思わず出てきた本音に自分でもびっくりする。

「あ、全然、今のは忘れて！」

慌ててそう言う。

羨ましい……。
私も、誰かに愛されてみたい。