世界には愛しかない (ページ41)

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Aside

昨日の夜…。

『あの…土生ちゃんのことなんやけど』
『ん？なに？』
『実は…土生ちゃん雨…とか雷とか、暗いところとか、苦手で』

…雨が苦手？

『その…昔ちょっといろいろあったみたいで』

昔……。

『今日の夜、天気荒れるみたいだから心配になって。さり気なく、見といてくれへん？』

その言葉通り、土生ちゃんは震えていた。
美波ちゃんが言ってくれなかったら、多分気づけなかったと思う。
さすが、幼馴染。
土生ちゃんも優しく背中をなでて、一緒に寝てあげていたら、落ち着いたみたいで。

めでたしめでたし……。

なはずだけど。

「てちー？」
「………………何？」
「……なんか、今日機嫌悪くない？」
「……そんなことない」

嘘つけ！
明らかに、今日のてちは機嫌が悪い。
私、なにかしたっけな。

うーん…。

ちなみに、今はバスケ練習を終えて、最後のバーベキューの準備！
私が1番楽しみにしてたやつ！
てちと一緒に野菜を切ってます。

「…あと、ナス？あ！危ないよ?!」

そこには、プルプルした手でナスを切ろうとしているてち。
怖い怖い……。
ちょっ…ピーマンの種そのままですか?!

……どうやら、料理は苦手なようです。

「……って、痛っ！」

そんなてちに気を取られていたら、私も包丁で指を切ってしまった。
水で流してみたけど、いくら流しても溢れ出てくる真っ赤な血。
あーあ、人のこと言えないじゃんか(笑)。

「ん？どうしたの、A」
「あー…ちょっと、切っちゃって」
「見せて？うわー、痛そう…。絆創膏持ってるよ」

え、絆創膏…。
女子力高いな。

「つけてあげる。手、出して」

優しく手をとってくれるてち。
あー…またこの…。
何回目だろう、このもやもやするような、熱い気持ちは。
しかもてちにだけ……。

「ありがと……」
「ううん…あっ…曲がっちゃった」

うん、そこがまたてちらしい(笑)。
だけど、必死でやってけれたことが嬉しくて。
私は、つい笑顔になった。

「平手ー！Aー！野菜切れたー？」

その時、志田さんの声がした。
バーベキューがはじまるみたい。

「今行くねー！」

返事をして、てちと一緒にみんなのもとへ向かった。