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Aside
また駅に戻る。
でも、ほんとにすごかったな、バスケ…。
そんなことを考えていたら…。
「お！平手！久しぶり！」
後ろから、男の人の声がした。
振り返ると、そこには30代くらいの男の人が立っていた。
平手ってことは…てちの知り合い？
だけど、てちの表情は曇って、苦しそう。
「……てち？」
その人を見たことないような怖い顔でにらみつけて、てちの前にかばうように出る、志田さんと理佐ちゃん。
「おいおい…。平手、ひどくないか？元コーチに。挨拶くらいしろよ」
「……は？いいから、私達これから帰るんで。もう、話しかけないでくれますか？」
そう言い放つ志田さん。
「おい、君は、平手といつも一緒にいる…志田だっけな。口のきき方に気をつけろよ！あれ、その後ろのやつは？初めて見るな」
「……へ…」
男の人に指をさされて、私は固まる。
「へぇ…。けっこう可愛いよね」
な…なに？
そんなことを言いながら近づいてくる、その人。
こわいっ…。
「…Aに手を出すんじゃねぇよ」
てちが、前に出る。
だけど、その手は小刻みに震えている…。
「ふーん、Aっていうんだ。覚えとく。ちなみに、俺は、小村健二。平手の中学生のときのバスケコーチ」
「……てめぇっ」
「平手！A、平手と一緒に、この各駅で帰って！時間はかかるかもだけど、満員よりは楽でしょ」
理佐ちゃんにそう言われて、ハッとする。
「わかった！てち、行こう？」
「……ごめん…」
そのまま、てちの手をひいて、電車に乗り込む。
ガラガラに空いていて、ほとんど誰も乗っていない。
プシュー
すぐにドアが閉まって、志田さんたちの姿が流れていく。
「…はぁはぁ……てち」
てちは青ざめた顔をして、口元を手で抑えている。
「ご、めん」
「大丈夫」
優しく背中をさすってあげると、てちは目を閉じた。
「…………さっきの、人ね…」
そうして、話し始めたてち。
……まさか、てちに昔そんなことがあったなんて。
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作者名：星空 鈴 | 作成日時：2019年5月2日 14時
