世界には愛しかない (ページ19)

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平手side

「てち、すっごいすごかった！」
「…ありがと」

…試合に、勝った。
Aに告白するんだ。

そう思ったのはいいけど、どのタイミングで言えばいいのかわからない。

どうしようか…。

あ、そういえば。

「バスケ部、入る？」
「……それは…」

自身なさ気な表情のA。

そのまま、そこの体育館で練習をさせてもらうことにした。

「え、待って、無理」
「大丈夫！ほら！」
「えぇ…」

ブツブツ言いながら、ボールを投げるA。

シュパッ

きれいに、ボールはリングに吸い込まれた。

……できんじゃないですか。

試しにドリブルもお願いすると、『こんな感じ？』とか言って、サラッとこなしてる。

「あ…できた」

自分でも驚いてるし(笑)。

って、ちょっと私！
二人きりの体育館。
これは…告白の、チャンスじゃない？

「………あのさ……もし、私が…」

Aのことを好きだと言ったら？

そう言いかけて、ぐっと言葉に詰まる。
いや、なんでそんなにきれいな目で見つめるの？
……言いたかったことが、全部頭から抜けていった…。

「ううん、何でもない！」

結局、そう言っちゃった。
あぁ、もう…。

「なに？ねぇ！」
「何でもないー！」

それより、Aバスケ部入ったら？

そうやって話題をそらす。
でも、本当に上手だったし。

「うーん…なら…入ってみようかな」

え?!まじで？やった！
嬉しい！

「てちー、A、帰るよー！」

そのタイミングで、呼ばれる。

「はーい…って…」

告白できてないじゃん、私！