考える絵描きは暗殺教室の世界を描き尽くす (ページ10)

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episode.１.０７ページ10

あれからしばらく時が経ち。

寝ることへの不安感から一睡もせぬまま、今日は月曜日。

E組の皆さんが登校してくる。

ぼくに関しては、転校生という扱いになるらしい。

だが、やはり渚君と殺せんせー以外には、中々心を開けない。

教室に入るには恐怖が伴うので、基本、空き教室で自習。

寝泊まりも、そこでさせて頂けることになった。

もちろん、会ってみたいという気持ちが無いわけではない。

だけど、オタクとしての好奇心よりも''ニンゲン''に対する恐怖感が圧倒的に勝ってしまうのだ。

こればかりは、いくら2次元の世界でも、すぐにどうこうできるものでは無いだろう。

さて、現在の時刻は、7時54分。

そろそろぼくの新しいクラスメート達が登校してくる頃合いだろう。

絵を描いていた手を止め、凝り固まっていた肩と首を軽くほぐす。

…ん?

＿｢ちょ……って………っちは…め……｣

＿｢…んで?……に………きん……れ…………しょ……｣

近づいてくる話し声。1人は多分渚君。

…もう1人は?

＿やばい。

ぼくがそう気づいたのは、扉が開いたのと同時だった。

.

潮田渚side

｢ちょっと待って！そっちはダメ！｣

｢何で?別に禁止されてるわけじゃないでしょ?｣

朝学校に来るなりサボると宣言したカルマ君が向かったのは、Aさんがいる方向だった。

僕の必死の制止も虚しく。

「…は？？」

開け放たれた扉の向こうには、顔を青くした、Aさん。

唖然とするカルマ君を、一旦外に出し、戸を閉める。

｢…渚君、ちょっと説明して貰える?｣

｢後でするから、ちょっと待ってて｣

それだけ言うと、Aさんに声をかけ、部屋に身体を滑り込ませる。

「…あー……えっと。」

｢ほんっとごめん！僕もまさかこんな事になるとは思わなくって。｣

暫く戸惑うように視線を泳がせていたAさんは、僕が謝るのを聞くと、ふっと笑みを零す。

「いや、しょうがないですよ。それより…その…1つお願いしたいんですが…」

｢うん｣

僕は部屋から出るなり、カルマ君にAさんの事を、アニメなどのことも含め全て説明した。

食い入るように聞いていたカルマ君は、説明を終えると、少し考え込むような素振りを見せる。

｢…で?俺にどうして欲しいの？｣

｢…2人だけで話してみたい、って。｣