考える絵描きは暗殺教室の世界を描き尽くす (ページ9)

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episode.１.０６ページ9

｢…は?｣

困惑する渚君をみながら、改めて考える。

＿やっぱ二次元なんだよなぁ…

ほんの数pixel(ピクセル)の差で豊かな表情を創り出している。

前の世界だと、こうはいかないよな…

＿貼り付けたような、笑顔

＿能面のような表情

表情なんて、筋肉の動きの組み合わせで。

感情だって、要は細かく枝分かれした''欲''がダマになってるだけじゃないか。

二次元が好きだったのは、そういう''感情''という名の''エゴ''を見なくて済んだから。

「まあ、大まかな事情はこんなところですね。

ぼくも、信じられませんけど。」

一通りの事情は話した。

あとは、ぼくの存在について彼らが信じるかどうか(物語にどう組み込まれるか)だ。

ぼくの手が届く範囲ではない。いざとなれば、また''飛ぶ''までだ。

｢…僕は｣

考え込んでいた渚君が、沈黙を破る。

｢僕は、信じるよ｣

「…信じる…」

｢うん。Aさんのこと、信じる。｣

＿''信じる''、なんて。

「久々に聞いたなぁ…」

｢え…ってAさん!?｣

ここに来てから、泣いてばかりだ。

泣きながら笑うみたいな変な顔になりながら思う

＿でも、それで、いいのかもしれない。

心の中で、呟いた。

.

あれから。

殺せんせーが買ってきてくれたらしい昼食(コンビニおにぎり)を食べながら、渚君と駄弁っていた。

｢キャラクターブックって…なんかちょっと恥ずかしいな｣

「つってもぼくは内容全部覚えるほどの猛者じゃなかったんですけどね。
すごい人は、お話に関わる人全員分の誕生日にイラスト描いたり…」

…ん?

｢えぇ!?ほんとにすごいね…ちょっと見てみたいかも！｣

待って…

「あの…ちょっといい?」

何で、今の今まで忘れていたのだろう。あの世までも連れていこうとした、ぼくの相棒(･･)たち…

｢うん、｣

「どこかで、ぼくのかばん見てない？」

と、次の瞬間。

｢おや、持主がわからず探していたのですが、君の物でしたか｣

シュバっと風を切る音とともに現れた殺せんせーが持っていたのは、見紛う筈もない。

ぼくのかばんだった。