考える絵描きは暗殺教室の世界を描き尽くす (ページ11)

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episode.１.０８ページ11

「彼に、ぼくの事を''全部''話して欲しいんです」

「それと…出来れば、2人きりで話してみたいです…」

＿実は、最推しだったんですよ

ぼくの付け足した一言で、微笑んで頷いてくれた渚君は、そのまま扉から出ていった。

やはり推しを目の前にして、オタクとしての好奇心は、恐怖や警戒を上回ったようだった。
もう、しょうがないのだ。

外から話し声が聞こえるその間に、フードとマスクを身に着け。

｢入るよ?｣

「はい、どうぞ」

入ってくるなり、手近な椅子を引きずり、ぼくの目の前に腰掛けた。

＿あー、色んな意味で、ヤベェ。

「驚かせた上お呼び立てしてすみません、赤羽さん」

礼儀であり本心でもある謝罪の言葉を告げると、彼は軽く微笑む。

｢業でいーよ。てか、パニック起こしかけたって聞いたけど、普通に話せてるよね｣

「前の世界で学校とかに行かなきゃいけない時は、今みたいな恰好をしてたんです。
多少は安定するので…」

｢へぇー…｣

＿沈黙。

さて、どうしよう。

話してみたいと思ったはいいけど、なにか話題を用意してる訳では無い。

ふと、何やら考えていた赤羽さ…業君が顔をあげる。

神妙な顔をして、口を開く

何を言われるのか。これまでこの服装のせいで言われてきた言葉が思考を埋めようとする。

＿大丈夫…大丈夫…ここの人達は彼奴らとは違う…はず…?だよ、ね…

.

｢そういえば、Aちゃんってさ、なんで俺の事…推して?、くれてたの？｣

「…え」

んん？

待って、想定外。

｢あれ、渚君情報なんだけど、あってるよね｣

固まったぼくに少し困惑する業君を見て、我に返る。

「えっと、はい、それはあってるんですけど…」

＿なんで、か…

あれ?

マイナスな感情に対しては、嫌という程向き合って、理由をつけてたのに。

''好き''の理由なんて。

｢考えたことなかったなぁ｣

盲点。新たな自己に対する発見。

言葉はなんだっていい。ただ、驚いたということは確かだ。

思わず崩れた敬語に、業君も少し驚いたようだったが、

気付けば、そんなこと気にもせず、考え込んでいた