怪盗さんとの恋物語 (ページ38)

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それから、キッドが返す予定だった例の3品がガンベルトの展示ケースの上で見つかった。

…まあそれも、華村さんが見つけたものだけど。

「おっといけない…盃に私の血がついてしまった…

でも、3つの品とも模造品のようですし問題はないでしょう」

「問題といえば、このガンベルトだが…

な、中の防犯装置が壊されている？！
じゃあ、中のガンベルトはキッドがスリ替えた偽物か？！

くそっ！！」

「まんまとしてやられましたな… 」

そう言ってガンベルトの展示ケースを叩く樽見さんと、冷静に返事をする華村さん。

それだけ見たら、お宝を盗まれて悔しそうにしてるだけに見えるけど、私はその直後に2人で顔を見合わせニヤリと笑ったのを見逃さなかった。

「 …ん？そのケースの説明プレート、何か垂れてるぞ？…絵の具か？」

「「え？」」

「そうか！水彩絵の具で同じ説明文を書いたプレートを上から貼り付けて、水で濡れたら下に書かれた文章が現れるようにしてあったんだな！」

「あ、そっか！あたしの袖に文字がついたのは、雨で袖が濡れてたから… 」

「ガンベルトの説明プレートの文字が裏返しについちゃったのね！」

「で？書いてある文章は？！」

「えーっと…このガンベルトは元々真っ赤な偽物…なぜなら… 」

『盗まれる事を想定して大量に作った物だから…ですよね？』

いざという時のために、快斗からこの事件の全ての真相を教えて貰っていた私。

きっと新一が全部見抜いてくれるだろうとは思ってたけど、実際そうなったように、今新一はキッドを追いかけに行っているため、この場にはいない。

だから、新一の代わりに私が推理を披露しようということになったわけだ。

「推理クイーンA来たあ！！！」

「推理クイーン？Aちゃんが？」

「そうです！園子も時々あるんですけど、探偵みたいに推理するんです！！」

「ほォ…おもしろい。
では、汝の考えを聞かせてもらおうかのォ… 」

ここにいる全員に見つめられ、緊張からぐっと唾を飲み込む。

……間違えないように、頑張らないと。

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