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 ……あぁ、もう、全部が煩わしい。生意気な生徒も、大人を舐め腐ってる餓鬼も、泣き叫んでる子どもも、慰めようともしない親も、騒ぐことしか脳の無い親共も、全部、全部、うざい。特に今は、壁を隔てていて尚聞こえてくる子どもの声が、とてつもなく煩わしい。

 もう一度言う。私はこの世に存在する子どもが全員、心の底から大っっっっっ嫌い!!!





























 東京に来たのは、今回ので六回目だった。少なすぎるというわけでもないのだろうが、東京の会社で働いている人間にしては、少ない方なのだろう。生まれも育ちも片田舎の私には、やはり何度来たって東京は異国だった。
 六回目だろうと関係ない。今回もほえーと間抜けな声と共に、聳え立つ周りの建物をぐるりと一瞥。辺り一面田んぼと畑と民家しかない故郷とは比べものにならないほど、近未来的な建築物達。行き交う人々も私とは違う、THE・都会人のオーラを放っている。恐るべし、東京。



「え、と……どの電車に乗れば良いんだっけ……」



 この辺の地形はややこしくて難しい。もう六回も来ているのに、未だに覚えられない。だから頑張って路線図を穴が出来そうなほど見つめているのだが、入り組みすぎてて頭が痛くなってくる。
 だが、諦めるわけにはいかない。今回も迷子になるのだけはなんとしても避けたいのだ。恥ずかしいし。なにより、恥ずかしいし。もう二度と連絡用のグループに迷子になりましたと送って呆れ顔の福良さんを迎えに来させるなんてことはしたくない。キレられる。今度こそ絶対、キレられる。

 会議の時間が迫っていることにも、自分の「六回目だし大丈夫っしょ」という楽観さが招いた無計画さにも、声をかけようとしても無視されるこの状況にも、焦りが募っていく。どうしよう、どうすれば。



「―――なにかお困りですか?」



 大袈裟だと言われるかもしれないが、控えめに言って、その声の主は神様のように思えた。
 顔をあげると、そこにはマスクをつけた女性が柔らかく微笑んで立っていた。髪は肩につくかつかないかくらいのセミロングで、マスク越しでも、笑顔が素敵な人だとすぐに分かった。

 それに、なんだか、私はその人を初めて見た気がしなかった。どこかで見たことがあるような、という漠然とした疑問を抱えながら見つめていると、反応がない私に、女性は困ったように眉を下げて「もしかして余計なお世話でしたか」と一言。







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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年12月25日 18時

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