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この会社では大体一ヶ月に一度大きな会議があり、一年に一度だけ、地方の社員と直接顔を付き合わせて行う会議がある。そして今日がその、地方に在住したまま仕事を担っている社員にオフィスへの収集がかかる日だ。
収集がかけられる社員の中には勿論、Aちゃんも居る。直接顔を会わせて話をしたのは一番最近で一年前だ。東京の空気は苦手だと語っていた彼女が個人的に旅行でこっちに来るわけもなく、俺達はまるで織姫と彦星のような再会を毎年している。恋仲ではないので厳密には違うが。
今回はなんの話をしようか、と一人考えを巡らせていると、そんなルンルン気分を遮るように、今日もあのよく通る「こんにちは」が耳に届く。急いで確認したカレンダーには確かに、今日のところへ�狡�陽君が来る日�瓩判�性らしき筆跡で書かれていた。
あー、見逃してた。
「おぉ、一週間ぶりだなぁ朝陽。またでかくなった？」
「そんな短期間じゃ大きくなりませんよ、須貝さん」
「福良くんもすっかりパパやってて、お兄さん嬉しいぞ」
「三十六歳は流石におじさんだと思いまーす」
「伊沢、あとでちょっと話そうか」
オフィスに入ってきた朝陽は早速須貝さんに頭を撫でられて、満足そう。初めてここに来たときも、あの子は真っ先に須貝さんになついた。
俺？俺は見ての通り仲が良いわけではないけど険悪でもないよ。
取り敢えず、最初からやんなきゃ良いのに余計なヤジを飛ばして目をつけられた伊沢さんは放っておくとして、もうすぐ集合時間になる。飛行機の便などの都合もあって多少前後はするだろうが、少し前から徐々に集まってきているし、そろそろあの子もオフィスに来るだろう。
直接顔を会わすのが久しぶりだから楽しみというのもあるが、もう一つ、俺には彼女に早く会いたい理由があった。それは、昨日の電話でのこと。
『ひっ……』
Aちゃんが気づいていたかどうかは知らないが、あの時、俺にも微かに子どもの泣き声が聞こえていた。音量的に恐らく隣の部屋からの声だったのだろう。本当に微かに聞こえていた。
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