こっち向いて。【Ryosuke.Yamada】

２１＿Ryosuke ページ21

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『お疲れさまでした…！』







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温かいミルクティーを２つ手に持ち、隣に座ってくるA先生。







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『はい、これ…寒いでしょ？』







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ミルクティーを受けとるときに、少しだけ手が触れる。







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涼介『A先生だって…』







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その手は、すごく冷えきっていて。







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今すぐにでも暖めてあげたいのに、







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涼介『……負けちゃい、ました』







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俺にはもう、そんな権利もないんだな。







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『……ですね、』







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”勝ったら、俺と付き合ってください”







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なんて言葉、言わなきゃよかった……







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有言実行もできないなんて、……男として失格じゃん。


　




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『でも』







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近くで遊び始める生徒を横目に、A先生が続ける。







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『……頑張ってたじゃないですか』







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マフラーに埋もれた口から吐く、白く色づく息。







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『生徒たちも、……山田さんも』







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涼介『え……』







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左側に座るA先生は、俺よりも小さくて。







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『山田さんも、ずっとコーチとして…頑張ってた』







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２人の間に吹くすきま風を遮るように右を向き、見つめられる。







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涼介『……、』







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……チューしたい。







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