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参拾捌ノ型 枯れ始め ページ38

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「…… それと、」


『ん?』



ここに来るまで謎に緊張していたから、重たい空気になる覚悟はしていたが、彼が気を遣ってくれたお陰で和やかな空気になった。



「鬼虎の件だが」


『…… うん』



とはいえ、やはりこの話題になると耳を塞ぎたくなるくらい辛い思いするのも事実。理由は分からないが、善逸が私の大切な存在を奪ったのは、忘れられない。



「…… あれには事情があるんだ」


『事情…?』


「俺の口からは詳しくは言えない。

ただ、Aはもっと知るべき事実がある。
ちゃんと善逸と話して欲しい」


『……うん』



事情。なんだろうか。

それを聞いても私は彼を許すことは出来るのかな。

他の女の子と遊びに行って、勝手に傷を作って、なんの恨みか鬼虎を傷つけて。

そんな人と私はまともに話せるのだろうか。

知るべき事実… もう私のことは好きではないとか?

それを聞いたら私は彼と別れることになるんだろうな。


どう考えても自分にとってあまり良い未来が見える気がしなかった。












『只今、帰りました』



無事に巷を騒がせていた鬼を斬り、私たちは別々(・・)の家に帰った。

彼はやはり優しく、私が家に帰らないことをまるで知っていたかのように最低限の荷物を渡してくれた。

…その中に、善逸から貰った花冠も入っていた。



日が出始めた時間とはいえ、まだ朝早い。

静かな声で囁き、借りてる部屋に入って荷物を下ろそうとした時、




「おかえり」


『…! 起きてたんですか』


「…… 帰ってきてくれてありがとう」




後ろからぎゅうっと無一郎くんに抱きしめられた。

同じ石けんの匂いが鼻腔を掠める。

また、私は彼を離せず受け入れるままだった。




「…… 不安だった。もう帰ってこないんじゃないかって。そのまま金髪のいる家に帰ってしまうんじゃないかって」


『… そんなの、杞憂です』


「…… このまま僕の家にいてね。ずっとこのまま杞憂で終わらせてね。…好き。好きだよ、A。大好きだよ。誰よりも愛してるから」


『………』




やっぱり、彼はどストレートに愛を伝えてくれる。

あれだけ欲しかった言葉を彼はいとも簡単にぶつけてくれる。

_____ やはり、彼を好きになったら幸せになれるのかもしれない。



そのとき、花冠のシロツメクサが少しずつ枯れ始めていった気がした。




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わたしちゃん(プロフ) - 遅れてコメ失礼します!すっごくきゅんきゅんして、善逸もかわかっこいいってかんじでもうほんと大好きです...!更新待ってます! (2021年6月28日 14時) (レス) id: 4e7e1a0744 (このIDを非表示/違反報告)
らら(プロフ) - 2人を元通りにしてあげてください!ww 続きめっちゃ待ってます (2021年3月20日 23時) (レス) id: b364ff4a49 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ - 続きが凄く気になります!夢主ちゃんとぜんいつの恋の行方が気になる!更新待ってます!楽しみです! (2021年3月17日 1時) (レス) id: ee58dd6f58 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが気になります!無理しないでいいですから更新楽しみに待ってます! (2021年1月7日 20時) (レス) id: 51e411dd35 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳@きゃらめる - (コメント失礼}(*・ω・)ノ善逸と元通りになってほしいなぁ〜(*´`*)花冠のところ.凄くグッと来ました…\(*>ω<)/更新頑張ってください! (2020年11月7日 10時) (レス) id: 1d3bfbc3f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たむ | 作成日時:2020年3月26日 23時

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