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参拾伍ノ型 離れない彼 ページ35

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『っ…!』



「A、足もたついてるよ!もっと動かして!」

「刀の振り方甘い!」

「もっと相手の動きに集中して!」





木刀を振る彼の速い動きに応えるように刀を構えても、やはり彼は年下といえど柱。返すことはおろか、ついていくので必死だった。

手足があまり動かず、頭もいつもより働かない。




『……ぃっ…!』


「わ、ごめん!大丈夫!?!」





彼の攻撃を躱せず、見事頭に直撃。

あまりの痛さに動きを止めてしまった。





「ごめんね。ちょっと厳しすぎたね」


『いや…、こちらこそすみません。集中が足りてませんでした。もう一度稽古お願いします!』


「…… その状態で稽古続けてもまた同じだから1回頭冷やそうか」


『…… すみません』




心配そうに顔を覗く彼の言葉に返す言葉が見つからず、俯いてしまう。







_________『僕の家にずっといなよ』

あの無一郎くんの言葉に、感情の赴くまま素直に頷いてしまったあの日から3日が経つ。正直、今はあの家に帰りたくなかったので無一郎くんの言葉は助かった。なので、甘えてしまった。

家事は全部私が担当する代わりに、彼は時間がある時に稽古を付けてくれている。元々つけてもらうことはあったのだが、やはり一緒に住むとなると以前よりも相手してもらうことが格段に多い。

それに、私たちはただ同期っていうだけで、必ずしも任務が一緒になるとは限らない。実際この3日間はあの3人の誰とも任務は被らなかった。

私は元から家事は嫌いでないし、憧れの無一郎くんに稽古を付けてもらってるし、生活は快適である。



なのに。

善逸のことが頭にこびりついて離れない。

駄目。全然集中出来ていない。

どれだけ木刀を構えても、無一郎くんに料理を褒められても、自分の家より広いお風呂に入っても、何をしてても、思い浮かぶのは善逸の顔。

集中しようと思えば思うほど、あの善逸の顔が忘れられない。___花冠をくれたときの照れた顔と大嫌いって言ったときの酷く傷ついたような顔がチラついてくるの。


離れて。私たちはきっともう終わってしまったんだ。

離れて、離れて離れて離れて______






「A」


『ひゃあっ!』






突然、額に冷たい違和感が走り自我を取り戻す。

無表情の彼は、水に濡れたひんやり冷たい手拭いを私の額に宛ててくれた。






「頭冷やせって言ったでしょ。ほら、休憩挟もうか」






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わたしちゃん(プロフ) - 遅れてコメ失礼します!すっごくきゅんきゅんして、善逸もかわかっこいいってかんじでもうほんと大好きです...!更新待ってます! (2021年6月28日 14時) (レス) id: 4e7e1a0744 (このIDを非表示/違反報告)
らら(プロフ) - 2人を元通りにしてあげてください!ww 続きめっちゃ待ってます (2021年3月20日 23時) (レス) id: b364ff4a49 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ - 続きが凄く気になります!夢主ちゃんとぜんいつの恋の行方が気になる!更新待ってます!楽しみです! (2021年3月17日 1時) (レス) id: ee58dd6f58 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが気になります!無理しないでいいですから更新楽しみに待ってます! (2021年1月7日 20時) (レス) id: 51e411dd35 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳@きゃらめる - (コメント失礼}(*・ω・)ノ善逸と元通りになってほしいなぁ〜(*´`*)花冠のところ.凄くグッと来ました…\(*>ω<)/更新頑張ってください! (2020年11月7日 10時) (レス) id: 1d3bfbc3f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たむ | 作成日時:2020年3月26日 23時

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