悶える彼氏と落ち込む彼女の攻防合戦【我妻善逸】

拾捌ノ型 悩みの種 ページ18

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「善逸はそんなことしないよ。

寧ろ女の子…ううん、Aがもし借金したらそれを快く肩代わりするほど優しい奴だと思う」


『そうかなあ… まあ、鬼殺隊に入った以上、そんな心配は要らないと思ってるけどさ。いざ私が困った時に善逸に助けを求めたら、善逸は振り返ってくれるのかな？』


「勿論だ。その時は俺も伊之助も全力でAを助けるぞ！」


『ありがとう。頼もしいなあ』




ドーン！と胸を張って構える炭治郎に、思わず笑みが零れる。膝に乗っているつくねなんか目が はあと になっているもの。これが噂の"とんでもねぇ炭治郎"なのかな。






『… 鬼殺隊にいる以上、自分の身は自分で守るし、守ってもらおうなんて思ってないけどさ。

でも、やっぱり女の子としては愛する男の人に守って欲しいなって思う時もあるんだよね。図々しいって重々承知してるけども。』


「それは図々しくないんじゃないか？

寧ろ、男は好きな女にそう思われたら嬉しいと思うんだ！どんどん頼られたいって思う！」


「炭治郎！ナンテイイ男ナノ…！素敵ヨ！」


『炭治郎は優しいね』


「そうかなあ」


「無自覚ナノモ素敵ヨ！存在ガ好キ！」


『ちょっとつくねさん。落ち着いて』




ここぞとばかりに彼にアピールする相棒に突っ込みを入れると、炭治郎は「大丈夫だ」と笑っていた。




「きっと善逸がAのこと抱き締めたのは、好きという気持ちが積極的に働いたからではないだろうか」


『えっ、』


「Aは善逸に対して不安があるみたいだが、大丈夫だよ。善逸はAのこと大好きだから」




にこっと優しい笑顔の彼の一言で、私の心にじわじわと温もりが広がっていく。

普段善逸の感情を窺っているこちらからしたら、たとえ嘘でも凄く嬉しくて私がずっと欲しかった言葉だった。





『…炭治郎の将来のお嫁さんは幸せだね』


「っえ、」


『あ、その反応、もしかして好きな人とかいるの？』


「……あ、う…ん、好きな人は、いる」


「何ヨソレ！ドコノ女ヨ！吐キナサイ炭治郎！」


『ちょっと、私より興奮するの辞めてよ つくね。』


「いいんだ、俺のことは。…もう敵わないって分かってるから」


『…… そっか』




無理して笑う横顔が何だか切なくて、深く聞くことは出来なかった。完璧な炭治郎でも恋に悩むことあるんだなあ。何か協力出来ることはないだろうか。

無一郎の言葉、善逸の抱擁、そして炭治郎の言動… 悩みの種がまた増えたAだった。

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