悶える彼氏と落ち込む彼女の攻防合戦【我妻善逸】

拾陸ノ型 尊い彼氏様 ページ16

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『え…？』

「ぜ、善逸？」





余りにも聞き慣れない言葉に耳を疑う。

それは炭治郎もそうだったのか、目を見開き 固まってしまった。

私も例外ではない。彼は今なんて言った……？





『えっと、…え？』


善「………」


炭「なっなんか悪いものでも拾って食べたか？」


善「俺のこと何だと思ってるの」


『体調どっか悪い？熱？それとm「…うるさいなあ」…… えっ』






瞬間、身体が包まれ、身動きが取れなくなる。

すぅっと匂いを嗅ぐと、嗅ぎ慣れた洗剤の匂いがする。


どんどん身体の体温が上がっていくのがわかる。

ドッドッ..と急に早くなった心臓の音も、きっと耳のいい彼にはバレているだろう。

それでも、この感情を抑える術を知らなかった。






『ぜ、善逸…？どうしたの？』


善「…俺、彼氏じゃん。こういうことしちゃダメなの？」





駄目じゃないですーーー！！

全然駄目じゃないですー！！！！！！！

例え、ときめき過ぎて死んだとしても 今はもう悔いはないです！！！！



だけど、異性と手も握ったこと無い私にとってこの状況は危ない。免疫がないのよ、私。


こ、こういうときは抱きしめ返すべき？

えっ、いいの？そんなことしていいの？


なんのご褒美？私何か良いことした？

いやん、神様 仏様 善逸様 大好きです！！明日、神社でお賽銭いれよっかな。ありがとう。アーメン。






善「… 何とか言ってよ、馬鹿」


『へっ？』


善「駄目じゃないとか、いいよとか、早く言ってよ」


『… それってどっちも同じ意味じゃ、』


善「それ以外、受け付けないから」


『う"っ… 』





無理。好きじゃ表せない。尊い。





善「…何、それとも駄目だって言いたいわけ？」


『いっいや別にそんなんじゃ…』


善「……… 俺じゃやっぱり不満？」





ぎゅうっと更に強く抱き締められる。

どこか不安げな声色から窺える感情に、ぎゅっと心も掴まれた。





『あっあのね、善逸、私 善逸のこと、すっ……す「おい、お前ら 何してんだよ」… きゃあああ！』




横からひょっと現れた伊之助の声に驚いて、反射で身体を離す。




『いっいつからいたの』


伊「あ？今だけど」


『そっか！……さあ！もうご飯出来たし食べよ食べよ！ね！ほら、準備して！』


伊「？… 紋逸。お前の顔 タコみたいだぞ」


善「… お願いだから無視して …」


『…あれ、炭治郎は？』




そこにいたはずの彼はいつの間にか居なくなっていた。





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