検索窓
今日:28 hit、昨日:27 hit、合計:209,482 hit

【 Third party 】 ページ50










「 ……夢オチ展開だと思ったか? 」
「 いや?現実逃避してんなって思った 」
「 元はと言えばテメーのせいなんだよクソが! 」








 目の前の女はダンッ!とジョッキを机に叩きつけると、その音で少し冷静さを取り戻したのか、いそいそと卵焼きに箸をつけ始める。
 その様子を眺めながら、俺はうざいだろう笑みで彼女を笑ってやった。








「 それで、あれからどうなったの。その七人とは 」
「 ……あいつら、自分の家があるくせに、定期的に私の家に遊びに来やがるんだよ 」
「 へー良かったじゃん 」
「 良かねぇよ!こっちの心臓が持たねーわ! 」








 元凶のお前が責任もって注意しろや、と彼女は箸で俺を指しながら言うが、生憎そこまで優しい人間じゃないんで、その怒りはスルーすることにする。

 この女―――有働とは大学時代からの付き合いだ。
 たまたまウマがあったと言うか、自分を取り繕わなくていい関係が、個人的にとても居心地が良かった。









 ―――『 ……死にたい 』
 ―――『 ……急になに? 』








 有働はもう覚えていないかもしれないが、酔っぱらったあいつは何故か俺に電話をかけてきて、暫く「 死にたい 」を連呼すると、なんの言葉もなしに通話を終わらせてしまった。

 あれからなんだかんだ気がかりだった。
 だから小さくなった七人を拾ったとき、あいつの元に世話を頼もうと思った。
 大学の研修が忙しいと嘘をついて。








「 大体お前が小人なんか送ってこなきゃな…… 」
「 でも楽しかったんだろ?小人との生活 」
「 …… 」








 俺が原因を探しあてる必要もなく、彼らは元の姿に戻ってしまったようだが。

 けれどやっぱり、多少強引にでも彼らを彼女の元に送って良かったと思う。
 知識では難攻不落の城のような七人の甲斐あって、有働含むその他社員はブラック企業とおさらば出来たみたいだし。


 それに。








「 ……今の生活も、別に悪くはないよ 」








 あんなにも生きることに苦痛を感じていた有働の表情が、明らかに明るくなった。
 小さな彼らや、元の彼らがきっと、彼女を変えたんだ。

 ほんと、素直じゃないな。俺もこいつも。








「 水上、なに笑ってんだ 」
「 笑ってないよ。被害妄想も甚だしいね 」
「 はーうぜーこいつ 」









 まだ死ぬまでは長いと思うけど、まぁ頑張りなよ、有働。









終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)


←朝はすぐそこ



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (353 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
550人がお気に入り
設定タグ:QK , QuizKnock , all
関連タグ:hgs , SnowMan , 須貝駿貴 , longstory2 , fkr , YouTuber
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月29日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。