七人のお兄さん ページ32
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「 おねーさんごめん。おそくなった 」
「 お、須貝くん。お着替え長かったねぇ 」
「 ちょっとふくらくんたちとはなしてて 」
伊沢くんと山本くんに弄られているこーちゃんを可哀想な目で見ている川上くんを目の保養にしていると、キレッキレの動きで須貝くんも段ボールから出てきた。
彼はチェックのカッターシャツに黒のスキニー。小人だけどモデル並みにシュッとしてて、彼がもし等身大サイズだったら迷わず卒倒していたことだろう。
まぁそもそも、彼が等身大だった場合は巡りあってすら居ないと思うけどね。
だって彼ら、絶対人生勝ち組だもん。
私みたいなブラック企業とホワイト企業を見分けられない奴が、普通に生活してて関わるわけがない。
「 あんなけがしてたけど、おねーさんきよーなんだな 」
「 昔から家庭科は5だったからね。時々「 今度は怪我に気を付けましょう! 」とか言われたけど 」
「 あははっ!そうぞうどーり! 」
「 笑うんじゃないよ 」
ちっちゃなほっぺたを人差し指と親指で挟み込む。
それでもまだ笑いを止めない須貝くん。
いや、どんだけツボにはいってんねーん。
脳内で下手くそなエセ関西弁を披露していると、彼はつまんでいる私の人差しを、両手できゅっと握ってくる。
握られているのは、指先の本当に先端。触れている面積だって極僅か。
だけどほんのり温もりを感じるのは、彼が、彼らが、生きているということの証なのだろう。
「 ときどきさ、おもうんだよね 」
「 何を? 」
「 ふつうのおおきさで、おねーさんにあいたかったなーって 」
「 ははっ、そりゃ勘弁。君たちの等身大なんて、おねーさん卒倒しちゃうよ。かっこよすぎて 」
決して冗談ではない。私は本当にそう思っている。
今は体が小さくなって、目とかのパーツが普通より大きめだから可愛く見えているが、現時点でもそこそこ端正な顔立ちをしていると思う。
乾も結構なイケメンだけどね。あんなのがあと七人も増えるって考えたら、ちょっと、おねーさん困っちゃうな。
「 そ?おれらかっこいい? 」
「 今は可愛いけどね 」
「 どっちやねん! 」
最後にツッコミを披露して、須貝くんは四人の元に行ってしまう。
そういえば考えたこと無かったけど、彼らって、元々から小人だったんだろうか。
もしかして……いや、ないか。
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作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月29日 18時