手作りお洋服 ページ26
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そうだ、洋服を作ろう。
突然京都に行きそうなノリが来て驚いたかもしれないが、私は至って正常だ。
ネジはまだ二本しか飛んでいない。
そんな話はさておき、なぜ急にこんなことを思い立ったかと言うと、会社から有給をもぎ取ることに成功したからである。
あれ以来うちの部署の部長は私にびびってるらしく、頼めば簡単にくれた。
やっぱ意見言うって大事だな。あれは意見と言うか、暴言だったけど。
「 小人達ー、集まれー 」
「 なになに？！きんとれ？！きんとれ？！ 」
「 しないよ。私運動嫌いなんだから 」
「 えー、きんとれおもしろいのに 」
残念がってる伊沢くんには申し訳ないが、私は昔から運動が大の苦手でな。
一つ運動嫌い武勇伝を教えてやると、小中高と一度も50m走で12秒を切ったことがない。
因みに泳げもしないからそこんとこよろしく。
渋々ながら河村くんも集まってくれて、七人全員が私の前の机に座っている。
こうして見ると……やっぱお前ら可愛いな。
「 今日はだな、君たちの服を作っていこうと思う 」
「 ふく？ふくなら、いまきてるけど……？ 」
こーちゃんの言うとおり、彼らは初日からしっかりと服を来ている。
だが柄のせいなのか素材のせいなのか、どうにもパジャマ感が拭えない。
そこで、この不器用社畜おねーさんが君たち用の私服っぽい服を作ってやろうと言うわけだ。
裁縫道具なんて高校生以来一度も使ったこと無いけど、ま、まぁ、六年くらいのブランクはなんとでもなるさ。ははははっ。
「 じゃあまず、一人ずつ作って欲しいデザインを聞こうか 」
「 はい！はい！おれてぃーしゃつ！あとたんぱん！ 」
「 伊沢くんはTシャツ短パンね 」
「 あの、おれは、えっと、じゃけっとみたいな！ 」
「 こーちゃんジャケット…… 」
「 おれ、ぱーかーがいいです 」
「 川上くんはパーカーね 」
一人ずつから着たい服のデザインを聞き出し、それをメモに纏めていく。
柄とかも後で細かく聞いた方が良いかな。
六人分のメモを取り終わり、顔をあげる。相変わらず河村くんは皆より少し離れた場所に座っていた。
河村くんは着たい服のデザインとか無いのか？
それとも、今更距離を詰めるのを躊躇っているのか。
そう言えば少し前に、福良くんが「 かわむら、ぶきよーだから。ごめんね 」と言っていたような。
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作者名：朝田 | 作成日時：2020年12月29日 18時
