ぶっ飛びコンビ ページ3
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今日も部下が一人減り、自分のこととは微塵も考えていない部長に対して苛立ちを募らせながら、ガタガタ文字を打ち込んでいく。
カタカタではない、ガタガタだ。
超高速タイピングを持ってしても減らない仕事。周りの新入社員たちはそんな様子を見て絶望顔だ。
ごめんよ若者達。君たちの希望をぶち壊す気は無かったんだ。ただ私も日は跨ぎたくないんだよ。
「 おーおー、有働くん。君は今日も働き者だね 」
「 部長おはざす 」
午前九時。漸く部長の出社だ。
こっちは朝早くに家を出て仕事してんのに、怠け者の貴方は珈琲の香りをプンプンさせてるなんて、いいご身分な事ですねぶっ殺してやろうか。
毎日こんな日々が続けば当たり前に口も悪くなるし、丁寧な対応だってダルくなる。
取り敢えず面倒なことは避けたいと適当にニコニコしながら挨拶して、無駄にベタベタ触ってくる部長の手を徹底的に叩き落としていたら、漸く彼は諦めてデスクに行ってくれた。
くっそ、朝から気分が悪い。
てめーの顔面に朝食ぶちまけてやろうか。
「 有働さん、今確認良いですか 」
「 あ? 」
「 ひっ 」
「 殺気もれでてるよー 」
部長への怒りを背後に居た後輩にも向けてしまい、隣にデスクを構えている同期にヤジを飛ばされる。
あーこれに関しては私が悪い。彼が退職することになったらまず私だろう。その時は責任とって会社のビルから飛び降りよっかな。
怯えた後輩君から書類を受け取り、パラパラーと確認していく。
問題は……特に無し、か。君のような社員が増えてきたらおねーさん助かるんだけどな。
君はどうか辞めないでくれよ。
「 ん、良いよ。これで後は印刷しといて 」
「 わ、分かりました 」
後輩君が去っていくと、早速隣の同期が「 良い後輩持ったね〜 」なんて茶々を入れてくる。
それにもすっかり慣れた私は「 そりゃどーも 」と適当にあしらって、つまんないだとかのブーイングを受けながらパソコンに向き合った。
今でこそこんなテンションの同期だが、ここに来たときはもっと大人しい奴だった。
それが働きすぎて感覚が麻痺ると共に性格も激変し、今の彼女になったのである。
つまり私達はこの会社の犠牲者となり、無事に頭のネジがぶっ飛んだコンビと言うわけだ。
どうかこれからも仲良くしてくれな。俺お前居ないと死ぬから。いやマジで。
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作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月29日 18時