結ぼう不可侵条約 ページ15
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「 河村くん。不可侵条約を結ぼう 」
「 は？ 」
「 瞳が絶対零度だわこの子 」
山本くんとは打ち解けることに成功したが、河村くんとは寧ろその逆。近づけば近づくほど離れられていく。
肩に伊沢くんとこーちゃんを乗せて「 そんな目で見ないで♡ 」とかやってみたが、やべー奴を見る目で見られて終わった。これに関しては私もやべー奴だとは思ったけども。そんな露骨に出さなくても良いじゃん。
「 不可侵条約だよ、不可侵条約。私は君のテリトリーに必要以上に入らない。だから君も、必要以上に私のテリトリーに入ってくる必要はない。あ、入りたくなったら入って良いけどね 」
「 …… 」
「 どう？良くない？ 」
「 よくなーい？ 」
私の真似っこをする伊沢くんともう一度「 よくなーい？？ 」と言うと、吐き出される大きなため息。そして彼は視線を斜め下に落とし、「 わかりました 」と渋々言葉にしてくれた。
すっごい譲歩してくれた感が否めないけど、この際そんな細かいことはあとあと。彼が私と条約を結んでくれただけでも大きな進歩だ。ここに来た頃の瞳を見たか？彼、マジで人一人は殺した目してたから。
こうして全員と( 表面上は )仲良くなった私は、心の中でガッツポーズを決め込んだ。これでなんとかコミュニケーションは図れそうだ。
「 にしても、今日からどうっすっかなぁ…… 」
小人達がわちゃわちゃしている机に頬杖をついて、思考を巡らせる。今日から彼らのご飯も作らなきゃいけないし、私は朝から夜中まで帰ってこない。その間のご飯はどうしようか。
……あ、そうだ。良い奴居たわ。
≪ ……Aさんからの電話とか嫌な予感しかしないですよね ≫
「 まぁそう言うなって乾。先輩からの電話なんだからもっと喜べよ 」
≪ 喜べね〜〜！！ ≫
思い立った私はすぐに奴に電話をかけた。乾だ。大学のサークルで知り合った奴で、今はどっかの会社にバイトとして勤めているらしい。
在学時期は被っていないのだが、運命というものはこれまた複雑で。まぁなんやかんやあって知り合ったんだよ。察しろ。
「 そうそう。でさ、お前に小人の世話任せたいんだよね 」
≪ ……Aさんとうとう仕事のしすぎて頭いかれた？ ≫
「 失礼な。まだ一本しかネジ飛んでねぇよ 」
≪ 飛んでるじゃん ≫
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作者名：朝田 | 作成日時：2020年12月29日 18時
