Piece【ホビット】-2- (ページ2)

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ﾚｺﾞﾗｽ｢今日の夜はここで休む。｣

あれから大分進み、森の明るい所で止まった。
目が痛い。泣きすぎて。

ﾚｺﾞﾗｽ｢…近くに川がある。洗ってこい。｣

レゴラス様も気づいてくれたのか、呆れたように笑いながらそう言った。
私もそれに頷き、ゆっくり歩きながら川へと向かった。

…そう言えば、バルドの家で切られた傷もなくなってる。
ボルグに突き飛ばされた時の痛みもない。
全部レゴラス様のおかげで治ったのかな…。

なんか変な感じがするな、耳にあのデカいピアスがついてないって思うと。

そんなこんなで川につく。

…せっかくだし足も洗おう。

私は膝下まであるブーツのような靴を脱ぎ、足を川の水の中にいれる。
冷たくて気持ちよかった。
…一人になると思い出してまた涙が溢れてくる。
何に対して泣いてるのかわからなくなるほど、色んな記憶が掘り起こされて頭がぐちゃぐちゃだ。

ﾚｺﾞﾗｽ｢…また目が痛くなるぞ。｣

いつの間にか隣に立っていたレゴラス様は、優しい声でそう言った。
私は川辺に座っているため顔は見れない。

｢…喜べないんです、素直に。戦いが終わって嬉しいはずなのに。もう誰も失いたくない…。｣

思わず零れた本音。

…エルフとして生まれてきた限り、失うものは他の種族に比べて段違いに多い。
それが不老不死の運命だ。

ﾚｺﾞﾗｽ｢…失うことを恐れるのは仕方の無いことだ。誰だって大切な人を失うのは辛い。｣

レゴラス様はそう言った。

…私より100年早く生まれたレゴラス様は、きっとその100年で何かを失ったんだろうな…。

ﾚｺﾞﾗｽ｢…でもだからこそ、共に生きれる時間を大切にするんだ。それが出来るのは、我々エルフだけだと思ってる。｣

｢…どうして？｣

ﾚｺﾞﾗｽ｢…他の種族より少しだけ長く生きていて、少しだけ死の恐怖と悲しみを知っている。エルフはいつも遺される側だからな。｣

レゴラス様はまた少し呆れたように笑った。