あなたが居なくなった世界は【佐野万次郎】

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｢…おいマイキー、お前どの面下げてAに会いに行ってんだ？｣

マイキー｢……。｣





俺が全力で殴ったって、こいつは息ひとつ上がらない。
殴り返すことも出来るくせに、こいつは黙って殴られるだけ。





｢……ああ…ほんっとに嫌いだよ、俺はずっと前から、お前のそういうとこが嫌いだ。｣





…俺と同じくらい、下手したら俺よりも、こいつもAを想ってる。
だから俺に手を出さない。





マイキー｢…ああ、気付いてた。｣

｢！！！｣

マイキー｢俺はAをお前に譲る気は無かったし、俺だけがAを守っていければそれでよかった。…お前はそんな俺にも、Aにも、欲を出さなかった。上手に隠してた。｣

｢っ…｣

マイキー｢…俺も、お前のそういうとこが嫌いだった。｣





マイキーは俺の手を握って言う。





マイキー｢…Aのことを愛してる、心から。｣

｢…｣

マイキー｢死んでも愛し続けるし、Aがいつかお前を好きになる日が来ても俺は認めねぇ。｣

｢…｣

マイキー｢……でも、俺じゃ、もう、Aを笑わせてやることが出来ない。｣





……そんなこと、ねぇだろ。





マイキー｢あいつの幸せを守ってくれ、三ツ谷。｣

｢…｣





お前なんかに頼まれなくても、俺は許されるならAの幸せを、俺がAを幸せにしたい。
でも、





｢…お前は馬鹿だ、昔から。｣

マイキー｢…。｣

｢Aの幸せが誰と一緒にあるのか、誰の隣にあるのか、わかんねぇの？｣

マイキー｢…｣

｢…俺じゃねぇんだよ、マイキー。お前しか居ねぇんだ。｣





悔しいけど、そうなんだ。
Aはこっちを振り向かない。
Aの視界に入るのは、この先もずっとマイキーだけだ。





＊

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