あなたが居なくなった世界は【佐野万次郎】

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アナウンサー｢続いて次のニュースです。昨夜未明、大阪府◯◯市の河川敷にて男性が殺害されていると通報がありました。警察の調べによると、犯行手口が拳銃であることから、兼ねてより勢力を伸ばし続けている犯罪組織、梵天が関わっている可能性が高いとのことです。｣





大学の食堂に設置されているテレビで流れたニュース。
思わず持っていたお箸を落としてしまった。





春香｢…A？大丈夫？｣

『…梵天…』

春香｢ん？…あ、ニュース？怖いよね、ここ近いし。A夜遅くまでバイト入ってること多いんだから気をつけてねほんとに。｣





春香がそう言ってくれるけれど、この事件はまさしく私は関わっているのだ。





『…うん、ありがとう。』





＊





三途｢マイキー、このニュースはなんだ？｣

｢…。｣





久しぶりにこいつらの顔を見た。
近頃はAのことばかり考えていて浮かれていたが、ここに来ると俺は、自分が何者なのかを思い出す。





九井｢最近顔出さねぇと思ってたけど、大阪？大阪になにかあるのか？｣

鶴蝶｢…なんとか言えよ、マイキー。｣





…ああ、面倒だ。
ほんとうに、何もかもが。
なんでこんなことを続けているのかすらも分からない。
俺はもはやこいつらの操り人形だ。





｢何も無い。その事件についてはもみ消してある。問題ないだろ。｣

三途｢…ちっ。｣

｢…まだ何かあるのか？この話はもう終わりって言ってんだよ。殺されてぇの？｣

三途｢…いいよ、いい、いい。わかったもう終わりだ。あんたがどこでなにしてようと干渉しねぇよ。｣

｢…。｣





三途は呆れたようにそう言った。
怒りも何も湧いてこない。
俺はそこにいる奴らを一瞥もせず、その場を後にした。





三途｢…"神崎A"…ねぇ。…女に溺れるなんてみっともねぇことで幻滅させんなよ、マイキー。｣





悲劇は、この時から既に始まっていた。
俺はこいつを甘く見すぎていたんだ。
今思えば、ここが全ての、始まり。





＊

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