私の胸の鳴る理由(1) (ページ8)

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Aside

『有馬と喧嘩でもしたの？』『A、全然有馬と絡まないね』

今日一日で何人にそう言われたことか･･･

昨日のことを引きずって隼人くんを避けたまま放課後になってしまった

一体私は何がしたいの...？

自分の心なのに、気持ちがはっきりしない

ため息をつきつつ、下校しようと校内を歩いていると、びくっとして足が止まった

有『A、昨日は悪かったな』

隼人くんが待っていた

慌てて気持ちを立て直した

「あ、あの後麻友ちゃん大丈夫だった？」

有『あぁ』

「そっか、よかった！」

その調子、自然に話せてる

有『昨日食い損ねたアイス、食いにいくか！』

「･･･！」

隼人くんがあんまりいつも通りに笑うから、私も思わず笑顔になる

【あたし、やすくんとAちゃんのおかげで、また隼人くんと付き合えそう】

「･･･っ、ご、ごめん、！今日予定あって...」

のは一瞬で、昨日の麻友ちゃんの言葉が脳裏に蘇り慌ててそう言った

有『･･･そうか』

隼人くんががっかりしてるように見えるのは、きっと気のせい

麻友ちゃんは、また隼人くんと付き合えそうだと言っていた

それなのに、幼馴染だとはいえ、自分の彼氏が他の女の子とアイスを食べにいくなんて、きっといい気はしないよね･･･

「隼人くんさ、私へのフォローとか平気だからね...？」

有『なんだよそれ笑』

意味がわからないというように隼人くんが笑った

隼人くんは責任感が強いから、だからきっと私のことを気にしてくれているだけ

「大丈夫、ちゃんとわかってるから。じゃあね」

精一杯明るく言って、私は隼人くんの横を通り過ぎて学校を出た

きっと、時間はかかってしまうけど

だけどちゃんと気持ちを切り替えたい

ピコン

そんなことを考えているとカバンの中でスマホが鳴った