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Aside
有『深い傷じゃなかったのが不幸中の幸いだったけど、だいぶ出血したし、結局跡が残って__』
「隼人くん...」
有『好きだと思ったし、自分なりに大切にしてるつもりだった。だけど、俺は多分あいつほど真剣じゃなかったんだと思う』
「・・・」
有『恋愛に対して、すげーガキだった。あの気づかなかってる以上、俺にとってあいつは一生わすれられねーし...』
分かってはいた
だけど、隼人くんの心に一生忘れられない女の子がいる
その事実に、胸が張り裂けそうなほど苦しくなった
有『もう、誰かと付き合ったりする資格はないって、ずっと思ってた』
「・・・」
隼人くんの声がどんどん遠くなって
ドカーン!
最後は、今年一発目の花火の音で掻き消された
有『だけど___』
「・・・ごめん、トイレ行ってくる」
もうこれ以上聞きたくない
私は立ち上がって、隼人くんにそう言った
有『え?』
「・・・辛いこと、思い出させちゃってごめんね。話してくれてありがとう」
心のモヤモヤがバレないように、精一杯笑顔を作って駆け出した
有『A、!』
隼人くんの声が聞こえたけど、涙が溢れてしまいそうで振り向けなかった
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作者名:こばと | 作成日時:2023年10月12日 23時