私の胸の鳴る理由(1) (ページ21)

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Aside

ピコン

携帯が鳴った音がして見てみると

つ［有馬と距離縮めな！］

そんな文字と、頑張れスタンプが

そっか、今隼人くんと二人きりなんだもんね...

有『･･･』

「･･･」

たくさんの屋台が出ている神社の参道を歩いていく私たち

どことなくぎこちない空気が流れている

せっかく二人きりなのに、こんなデートみたいなシチュエーション逆に緊張しちゃって、頭が回らない

すれ違う女の子たちが、チラチラと隼人くんに熱い視線を送っているのが伝わってくる

このままだとあっという間に他の子に取られちゃう...

そのとき、近くにいたかき氷屋さんの大将が声かけてきた

大『はいはい、恋がうまくいくかき氷だよ！そこのおふたり、どう？』

「え？」

大『ここはやっぱ、かき氷できめねえと！』

恋がうまくいくかき氷なんて初めて聞いた

隼人くんと顔を見合わせ、思わず笑ってしまった

「じゃあ、私ブルーハワイで」

大『ブルーハワイいただきました！』

有『俺はメロンで』

大『はいよ！』

有『とりあえず払っとくから。待ってて』

「ありがとう」

No side

有馬は財布を出してかき氷屋の屋台に近づいていく

かき氷屋の大将はいきなり、その肩をガッと掴んだ

大『男はもっと強引に攻めろ』

有『はい？』

大『可愛い彼女、なごませろよ？』

有『･･･』

有馬はごくりと唾を呑んだ