私の胸の鳴る理由(1) (ページ14)

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Aside

有『･･･ごめん･･･俺が声かけたから』

あの日、海で麻友ちゃんが倒れ込んだ時、今と同じように青ざめてすごく動揺していたことを思い出す

「何言ってるの、隼人くんのせいじゃないよ！私がバランス崩しちゃって、勝手に落ちただけだよ？」

そう言ってもなかなか落ち着いてくれる気配はない

隼人くんは震える手で私の横に落ちてある美術図鑑を取り、私に差し出す

「･･･」

私はその図鑑を受け取ると、また床に置いて両手で隼人くんの震える手を包み込んだ

びっくりするほど指先が冷たい･･･

隼人くんがこんなに冷静でいられなくなるのは、きっとあの時のことがあったから＿＿＿＿

でも、私は隼人くんを安心させてあげたくて

震えが止まるまで、隼人くんの手を優しく握りしめた

出会ったあの時からずっと、隼人くんが私のことを気にかけてくれたみたいに

「隼人くん。私、そんなに脆くないよ？」

手をそっと離し、隼人くんを目を合わせてそう言った

「ほら、昔からなんとか頑張って生きていけるタイプだし！」

有『なんとかって、無理あんだろ』

隼人くんはそう言って苦笑した

「ううん、無理じゃないよ。本当に大丈夫」

私はそう言うと、図鑑を抱き上げた

「こうやって、隼人くんに責任感じさせちゃう方がやだ」

だから、そんな顔しないで？

そんな気持ちも込めてそう言った

有『･･･Aは、なんでいつもそう＿＿＿＿』

隼人くんが何か言おうとした時、予鈴が鳴った