私の胸の鳴る理由(1) (ページ13)

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Aside

空の青さが日に日に濃くなる最近

日差しの強さで夏がもう、すぐそこまで来ていることに気がつく

昼休み、次の授業で使うと先生に頼まれた美術図鑑を美術準備室に取りに行く

「ルネッサンス期と、印象派･･･あ、あった！」

上の方で見つけた図鑑を取るため踏み台を探すも見当たらない

棚の前に置いてあった丸椅子を用意し、その上に立って思い切り手を伸ばした

「もうちょっと･･･」

結構な分厚さの図鑑は重さがあるため指先が届いただけじゃ引っ張り出せなくて、つま先立ちをする

「･･･取れた、！」

有『A？』

「ん？」

廊下からわたしの名前を呼ぶ隼人くんの声がして振り向く

「･･･あっ、！？」

その拍子にバランスを崩して、私は椅子から転がり落ちた

ドサッ

半分ほど取り出していた分厚い図鑑がすぐ横を掠め、床に落ちた

「いった･･･」

有『A、！』

隼人くんは血相を変えて駆け寄ってくる

有『大丈夫か！怪我してないか！？』

「お尻打った･･･いたた」

ズキズキと痛む所をさすりながら上体を起こす

有『、、、』

「･･･隼人くん...？」

隼人くんはしゃがみ込んだまま、血の気の引いた顔で荒い息をしていた