過密の彼岸【文スト×HQ】 (ページ7)

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見ないでくださいページ7

キュッキュと湿気からか滑りにくい床。

男しかいない汗の匂いのする空間。

いつの間にか逃げてしまった猫。

｢は、はじめ、まして…急にすいません…｣

｢…そこに座って見とれ｣

目の前の怖いで有名なおじいさんは、有名監督として名を馳せている…らしい人で、私は今現在の立ち位置について深く思い返さなければならなかった。

ここはバレー部が使っている体育館。

先程の牛島先輩を始めとする、今までだったら立つどころか考えにも至らないようなことばかりで混乱する。

だが、確かに連れてこられたのだ、あの牛島先輩に。

｢校舎施錠時刻も過ぎている。家に帰れないのならば…｣

3分も前の言葉が思い浮かぶ。

逃げようとしたが、前を牛島先輩、後ろを色素薄い系の先輩に囲まれ、為す術なくここに来たのだった。

｢…なんで校舎施錠時刻過ぎてここいるんだ。とっとと家に帰ればよかっただろうに｣

監督の意見は至極真っ当で、でも自分にも譲れない理由があった。

｢…遅くに帰れと指示があって…｣
｢…お前、鈴原って……あの鈴原か。ならしょうがねぇな｣

頭をポリポリと掻き、古い家はこうもめんどくさい…と呟いてまたこちらを見た。

｢校門施錠時刻までは居ていい。ただし、手伝いをしてくれよ｣
｢は、はいっ、そのつもりです…ありがとう、ございます!｣

監督はまた、ひとつため息と鈴原の復唱をし、椅子へと戻って行った。