過密の彼岸【文スト×HQ】 (ページ14)

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見ないでくださいページ14

バレー部の監督は無理難題を許してくれた。

その分、やることのレベルは高く、毎日が目まぐるしく過ぎていく。

だが、一週間経っても武装探偵社が宮城からいなくなることは無かった。

｢っ!!どうしたのその髪の毛!!!!｣

副部長の添川先輩が体操着に着替えてきた私を見て言う。

ばっさりと切りそろえられた私の髪の毛は、イメチェンと言うにはあまりに毛先が不揃いで、まるで応急処置のような雰囲気を醸し出していた。

｢大丈夫です。心配しないでください｣

私もここ数日ではっきりと喋るようになった。

置かせてもらっている分、私の事で時間を取らせてしまっては行けないと思ったからだ。

｢いや、イメチェンにしては…その…｣
｢…気にしないでください｣

添川先輩はそれ以上聞いてこない。

クラスの子も私の髪を見て驚いてはいたものの、それ以上踏み込むことは無かった。

何故私が急に髪の毛を切ることになったのかは、昨夜の家での出来事だった。

私は祖母に呼び出された。

｢…あなたの存在を示すものが欲しいそうよ｣

悔しそうに私に吐き捨てた祖母は、なんだか泣きそうだ。

｢なら、私の髪の毛を切ることを許してください。きっと証明になります故｣
｢…いいのですね｣
｢お望みとあらば…覚悟の上です｣

そのまま、私は髪の毛を15cm近く切り、父へとあげた。

探偵社が宮城からいなくならないのであれば、父に宮城にいることはバレている。

他県には知り合いもいない。

もう、逃げ場はない。