過密の彼岸【文スト×HQ】 (ページ2)

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見ないでページ2

がやがやとした声とざわついた制服が擦れる音。

まだ不安そうな、でも輝きに充ちたみんなに目の背景で私は本を読んでいた。

この学校だとひと目でわかる白色のブレザーはまだまだ新品で、誰かが言った夜のような髪の毛は邪魔にならぬようキツくお下げにしている。

大きな黒縁メガネにかかるくらいの前髪から文字を覗き、必死に存在感を消してはや1ヶ月。

この学園は県内屈指の進学校として名を馳せている。

文武両道のその校風から、ガタイのいい男子や爽やかな笑みを浮かべた少女達が校庭や室内を走り回る。

｢鈴原、おはよう｣
｢…ぁい｣

本に集中していると時間を忘れてしまうのはよくあることだった。

いつの間にか始まっていたHRで、先生が点呼をとる。

大きな声が出ないのも普段通り。

周りが私のことを気にしないのも普段通り。

全部が普段通り。

｢なあ、一緒に行かないか?｣

隣の席の男子が薄ら笑いを浮かべながら話しかけてくる。

そのさらに奥には大爆笑の渦も見える。

からかわれているのは一目瞭然だ。

｢…す、いません、御手洗行くので、いけません｣

移動教室の度に誘われ、その度に逃げる私。

これも、普段通り。